堀口先生 この表をグラフにすると以下のようになります

図表:2-5同書より 拡大画像表示

マリさん 10杯目以降なんて、ほとんど幸せにはならないですね(笑)。

堀口先生 もちろん、人にはよるとは思いますが。人によっては「10杯目だって美味しい!」と主張される方もいらっしゃることでしょう。

マリさん でも、私はこのグラフにとてもピンときます。

堀口先生 これを見ると、ビールは1杯目だけでよいかもしれませんね(笑)。実は、これ、「限界効用逓減の法則」とよばれています。「1増える」毎の幸せの増え具合は少しずつ減るというもので、いろんな物事に適用できるんですよ。ギャンブルの勝敗でもこの法則に囚われることになります。例えば、1万円勝つのと、2万円勝つのは、嬉しさは2倍になると思いますか?

マリさん うーん、どうでしょう。

堀口先生 1万円勝って、次の日にまた1万円勝った方が嬉しくないですか?

マリさん たしかに、その通りです。2万円と額は変わらないのですが、言われてみれば、2日連続で勝った方がずっと嬉しいです。そう考えると、ギャンブルをやる人は“勝った”という実感が欲しいのかもしれない、と思いました。

事業もギャンブルの一種?!
脳内アドレナリンを抑えるためには

堀口先生 はい。同様に「1万円勝つ」のと、「10万円勝つ」というのを比べてみましょうか。先ほどのビールの表を使って推測すると、嬉しさは約3.5倍です。

図表:2-6同書より 拡大画像表示

マリさん あれっ、意外と3.5倍くらいにしかならないのですね。

堀口先生 はい。その通りです。これは、ギャンブラーには重要な思考で、自分の意思をコントロールする上で知っておいて損はないです。

マリさん 先生は、ギャンブラーの思考について詳しいのですね。もしかしてギャンブルされるんですか……?

堀口先生 あ……鋭いですね(笑)。例えば、事業というのは一種ギャンブルに近いものがあって、過去にたくさんの失敗を繰り返してしまっています。1回うまくいくと、“またうまくいく”と思い込んでしまう、というのは経験済みです。あとは、周りの人が結構ギャンブルをやっていたので、気持ちはよくわかるのです。

マリさん やはり、事業も一種のギャンブルなのですね。