ライバルを見つけよう

 本研究のインタビュー調査から、ライバルと聞いただけで「ちょっと怖い」「なぜ必要なのかわからない」と感じる人が一定数いることが明らかになった。

 本研究の質問票調査から、ライバルがいない多くの人は、ライバルの存在を「ストレスが増える」「自分を見失いそう」と思う傾向にあることがわかった。

 本書は、そういった人たちにライバルを持つことを強要するものではない。
 ライバルや競争といった概念に対し、読者の皆さんとともに一段上の視点から、理解と共有を得ようとするものだ。

 だから、最後にもう一度だけ言う。
 本研究によって得られた、もう1つの成果についてだ。

 ライバルを持つ多くの人にとって、ライバルは怖い存在ではなかった。
 むしろライバルは友であり、仲間であり、貴重な相談相手でもあった。

 ライバルを持つ多くの人にとって、勝ち負けは大きな問題ではなかった。
 むしろライバルは自分の成長を促してくれる指針であり、それを見守ってくれる同志であった。

 あなたが主人公キャラかどうかは問題ではない。
 自分に自信があるかどうかも関係ない。

 誰もが能力を秘めている。
 ライバルは、それを見つけに行く旅立ちのきっかけを与えてくれる。
 そうして見つけたものが、あなただけの宝物であると気付かせてくれる。

 そして、その宝物を磨く大切さを教えてくれる。

 そのことを実感できるくらいになったとき、あなたの周りには、きっとあなたのことをライバルとして見ている人がいる。

 そのときに感じる充実感や幸福感をぜひ体験してほしい。

 ライバルとは一人ひとりが心の中に宿す偶像だ。誰にも奪い取ることはできない。

 そして同時に、誰も与えることはできない。
 つまりライバルを持つことは、自分にしかできない。

 だから、自分からライバルを見つけよう。
 候補は、必ずあなたの周りにいる。

 もしかしたら、すぐ隣にいるかもしれない。
 一度、ゆっくり観察してみてはいかがだろうか。

(本稿は、書籍『ライバルはいるか?』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)