終戦後の焼け野原状態から80年。日本経済は高度経済成長期やバブル経済に代表される隆盛と“失われた30年”という停滞を経験した。特集『総予測2025』の本稿では、東京大学名誉教授の伊藤元重氏に戦後の歩みを解説してもらうとともに復活の処方箋を示してもらった。(構成/ダイヤモンド編集部 竹田孝洋)
復興期(1946~58年度)
軽工業中心の輸出主導成長率は6~8%
第2次世界大戦で日本は米軍の空襲を受け、多くの生産設備が破壊されました。1950年に起きた朝鮮戦争の特需で日本経済復活ののろしが上がります。
軽工業中心の産業構造で、安い人件費を武器に生産された製品の多くは外国に輸出され、輸出主導の成長でした。具体的には繊維製品、それから食器のような金属加工製品などが主な輸出品でした。高度経済成長期前で実質経済成長率は6~8%でした。
高度経済成長期(59~73年度)
重化学工業化が進展10%前後の成長続く
重化学工業化が進み、太平洋ベルト地帯に製鉄所、石油化学コンビナートが建設され、政府が旗を振る形で工業立地が整備されていきました。国内のインフラ整備も進みます。東海道新幹線、東名高速道路、名神高速道路などです。
三種の神器といわれた電気洗濯機、白黒テレビ、電気冷蔵庫がこの高度成長期の前半に普及し、後半にはカラーテレビ、クーラー、自家用乗用車の3Cを多くの家庭が所有するようになります。こうして輸出から内需へと経済の中心が移ります。この時期は多くの年度で成長率が10%を超えました
次ページでは、第1次石油ショックを機に終焉を告げた高度経済成長期以降の日本経済の歩みを振り返る。70年代半ばからの中成長期、デフレにあえいだ“失われた30年”、直近のインフレ期。最後には伊藤氏に日本経済再生に向けた処方箋を提示してもらった。