読むだけで終わらずに、実践する

伝える技術って、<br />相手のことを想像する技術でもあるんです。<br />【本田直之×佐々木圭一】(後編)『伝えかたが9割』のエッセンスをエバーノートに入れて、iphone上でいつでも見られるようにしている本田さん

佐々木 日本人の中には、すばらしいことを考えてる人がたくさんいるのに、うまく伝わらなくて世に出ないとか、世界で勝てないといったことがよくある気がしていて。僕は日本人びいきなので、いつもそれが悔しいと思っているんです。

 日本の技術やつくっているプロダクトは本当に素晴らしいと思うので、それをもっと世界に伝えるための手助けを、この本が少しでもできれればという思いもあります。

本田 僕、この『伝え方が9割』を人にあげるときに、「すぐ読めるけど、読んで終わらないでねって」と言って渡してるんです。とにかくなんでもいいから実践してみて、って。メールでもいいし、フェイスブックでもいい、実践して自分のものにしないと意味がないから。

 すごくいい本だから、これだけ折り目をつけた。でもそれをそのまま置いておいてしまうのはもったいない。僕なんか、こうやってエバーノートに入れて、iPhone上でいつでも見られるようにしているくらい。

佐々木 すごい、本当だ。とっても嬉しいです。初めに本の構成を考えていたときは、練習問題に多くのページをさいてたんですけど、それは極力減らして、なるべく誰もが入りやすくて、使いやすいように簡単なつくりにしました。

 本を出したあとに年輩の人から編集部に電話かかってきて、「これはすごい本だ」と言われたらしいんです。「カレー屋でいうと、カレーのルーのレシピを全部出したのと同じ。著者の方は、ここまで書いてしまって大丈夫なんですか?」と。(笑)

本田 本って結局、多くの人は読んで終わりになっちゃう。でも、レシピなんだから、もっとリアルに使ってほしいんですよね、この本を。1日1個だけでもいいから、試していくべき。

佐々木 料理のレシピと同じで最初は意識しながらでないと、コトバをつくれないかもしれませんが、何度かつかっているうちにレシピをみないでも自然と使えるようになると思います。ツイッターのつぶやきで実践してみたら、成果が上がったという感想をツイッターで書いてきてくれた人もいました。実際に動き始めてくれている人がいる。そういう反響をもらえるのが一番うれしいですね。

 たとえば、本の中に「いま返信しなくてはいけない携帯メールを、30%増しで返信してください」という課題があります。そういう本当にちっちゃいことでいいので、1回でもいいからやってみてほしいと思います。すると、きっと、すぐに結果は返ってくると思いますから。

本田 今すぐできることだし、日々やることでトレーニングにもなる。もちろん1回ですぐに身につくわけじゃないけれど、何回かやって自分のものにしていけば、いつか本を見なくても、もともと自然にできていたかのようになるはず、ということですね。

佐々木 はじめはそばに置いて意識して読んでもらって、身についたらもうしまってもらってOK(笑)。この本の役割としては、それでいいんだと思っています。