探偵が行う
企業の信用調査とは

 今回のような案件は企業の信用調査に当たります。必要であろう情報を取得して的確に伝えることで、依頼主はリスクを回避するための対策を講じることができます。

 これまで私が対応してきた企業の信用調査は3種類です。

取引先の信用調査
 現在の取引先や、将来的な新規取引先の信頼性を確認するための調査です。

 取引先が提示している情報(会社名・所在地・業務内容・業務規模・従業員数・財務状況・過去の取引履歴・代表者の経歴などなど)が信用に足るものかを調べ、不正やリスクの可能性を特定する調査です。

競合他社の調査
 業界内での競争状況や他社の動向を把握する調査です。

「競合企業が急速に成長しているが、その背景が知りたい」といった依頼が多く、事業展開や資金調達の手法、取引先ネットワークなどを調査します。

背任行為の調査
 自社内で発生している背任行為を発見するための調査です。

 例えば、勤務実態・ヘッドハンティング・横領・情報漏洩(ろうえい)・社員や取引先を勧誘しての独立・乗っ取りや合併を進める動きなどについて、証拠収集や関係者の行動や聞き込み調査を行います。

 このように多岐にわたる企業の信用調査ですが、さまざまな手法を駆使して情報を収集して調査を進めます。ここからはその手法について具体的にご紹介します。

(1)公開情報の分析
 商業登記簿や官報、不動産情報、企業の公式ウェブサイトやSNSなど、公開されている情報は、誰でも閲覧することができるため調査の基本情報となります。

 企業の役員変更や資本構成、過去の訴訟歴、不動産の名義や資産価値、企業の発表内容などを丹念にチェックすることで、表面的な姿から見えないリスクを洗い出します。

(2)現地訪問と観察
 対象企業のオフィスや工場を訪問し、現場の雰囲気や社員の働きぶりや業務実態などを確認し、関係する人物や出入りする人数などの調査を行います。

 現地に行くと企業が公開情報通りに運営されているかを、実際に目で確かめることができ、リアルな情報を得ることができます。