筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」で活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。私の探偵歴十数年の中でさまざまな調査の相談を受けました。多岐にわたる調査経験の中で、近年依頼が増えていると感じるのが「企業の信用調査」です。調査の目的はさまざまで、その内容は依頼主の要望により多岐にわたります。今回は、私が調査した実例を交えながら、企業信用調査の実態についてご紹介します。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳、登場人文はすべて仮名)
一代で築いたリフォーム会社
顧客の8割は紹介
今回の依頼者は、桑原錠さん(34歳・男性)です。
桑原さんが代表取締役を務める会社は、二十数人の従業員を抱える中小企業です。
業務内容は戸建て住宅を専門として屋根や壁のリフォームを手がけており、顧客リストをもとにビジネスを展開しています。
桑原さんが一代で築いた会社は15期目を迎え、有能な社員や職人たちの働きの下、これまでなかった支店をこの1年間で東京都内に五つも立ち上げるという急成長を遂げていました。
桑原さんの真摯(しんし)で誠実な経営方針に、取引先は大きな信頼を寄せてくれ、顧客の8割は紹介からというビジネスモデルでした。そのため顧客名簿は経営の根幹と言えるほど重要なものでした。