お笑い芸人の山田ルイ53世 Photo:SANKEI
思春期に引きこもりを経験し、決して円満とはいえない家庭環境で育ってきた芸人・山田ルイ53世。彼はある時、母親から電話口で言われた謝罪めいた一言に無性に腹が立ったのだという。その理由を深掘りして見えてきたのは、親子関係に潜む“無自覚な残酷さ”だった。※本稿は、芸人の山田ルイ53世『僕たちにはキラキラ生きる義務などない』(大和書房)の一部を抜粋・編集したものです。
「育て方が悪かった」ほど
子どもにとって残酷な台詞はない
10年ほど前だっただろうか。母親から電話口で、「子育てが下手でごめんね」と謝られたことがあった。
声のトーンから察するに、実際のところは、謝罪と嫌味の狭間……といった感じである。芸人としてブレイクした後、珍しく電話し、他愛もない雑談を交わしていたときの発言だった。
母親からしてみれば、かつて筆者が引きこもりとなった際、上手く対処できなかったとの後悔があったのかもしれない。
まあ、実際、次男たる筆者に限らず、3人兄弟の誰一人として、子育てが「上手くいった」とは言えない状況にあったのは事実だ。
長男は、漫画『ビー・バップ・ハイスクール』に影響を受けたのか知らぬが、分かりやすく田舎のヤンキーと化し、高校を出て以来、今に至るまで音信不通。三男は、国立大学に進学したが、その後は今も生きている、くらいしか情報が無い。
そして、次男は貴族を自称する芸人。この肩書きが一番“まっとう”に見える点からも、我が家の崩壊ぶりが窺えるだろう。
電話口では、
「いや、飯が食えるようになったのも、オトンとオカンのお陰だよ!」
と芸人人生で培ったコミュニケーション技術を駆使して、全力でフォローした。美談のように聞こえるかもしれないが、その実、このとき筆者は、無性に腹が立っていた。







