12月3日夜、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突然「非常戒厳(戒厳令)」を発令してから約1カ月。国会では尹大統領だけでなく、大統領職務代行の韓悳洙(ハン・ドクス)首相まで弾劾議案が可決される事態になり、混乱が続いている。毎週末のように大規模なデモが行われ、大勢の人々が大統領に抗議する様子は、かつて朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)の弾劾を求めて行われた「ろうそくデモ」を思い出させる。しかし日本人からすると、なぜこうした事態になるのか不思議に思うのではないだろうか?本記事では、韓国の人々がどのように政治的な集会に集まり、なぜ国益に反する方向へ突き進んでしまうのかを解説する。(ライター 朴車運)
韓国の社会不安を、野党勢力が助長している
韓国では、非常に不安な政治状況のまま年を越すことになりそうだ。
12月3日に尹大統領が非常戒厳を出して以後、韓国はほとんど無政府状態といった状態である。立法府と司法府、行政府を全て、最大野党「共に民主党」と党首・李在明(イ・ジェミョン)一派が掌握している。さらには、放送と新聞といったメディアも彼らの思うがままになっているのだ。
共に民主党は、尹錫悦大統領と与党・国民の力を「反国家勢力」と呼んでいるが、実際には国政を麻痺させ、混乱をもたらしているのは、共に民主党と李在明一派である。
12月14日、尹錫悦弾劾訴追案が可決された後、韓国はさらに混乱した。いまや毎週末、左派(共に民主党系)と右派(国民の力系)の両勢力がそれぞれ別の場所でデモを行っているが、マスメディアは左派の活動だけを伝えている。
韓国国会前はまるで音楽フェスのような様相となっている。若者が大勢集まっているが、彼らは野党によって今や三権分立が完全に破壊されたことを知らないまま、街頭に飛び出し、デモを行っている。
日本人からすると、なぜこうした事態になるのか不思議に思えるかもしれない。