この他にも、金於俊はこれまで自分のネット配信を通じて、天安艦事件の歪曲(韓国海軍の浦項級コルベット「天安」が2010年3月26日に朝鮮人民軍の魚雷攻撃で撃沈された事件)、狂牛病デマなど、韓国で重大事件が起こるたびに偏向した見方と虚偽情報で大衆を扇動してきた。明らかに疑わしい話であっても、韓国のマスコミ各社は、金於俊の発言をそのまま受け入れて虚偽ニュースを量産し、国民を扇動しているが、韓国では誰も責任を取る者がいない。

政治軍人の登場と官制デモ

 非常戒厳当時に出動した軍指揮官の中には、戒厳解除後に「良心的」行動を取ったとする指揮官がいる。彼らは、大韓民国内の最高エリート軍組織である特殊戦司令部(特戦司令部)と707特任団を率いる指揮官だが、軍統帥権者である大統領の命令に抗命したことを誇らしげに語っている。

 戒厳状況そのものが国民に良くない印象を与えていることは事実だが、この機会を通じて民主党に加わり、その後政界や国家機関の要職に就くという彼らの目的は明確に見て取れる。
韓国では将校以上の軍人たちは、かつてエリート集団と呼ばれた。特に士官学校出身者は社会的に良い待遇を受けたが、このような雰囲気は新軍部政権が終わり、金泳三が大統領に就任した後、軍部内の私的組織の解体によってすべて消滅した。

 全斗煥が12・12事態を起こし大統領に就任した際、彼に従った軍部も直属の上官の命令に反して全斗煥の側に立った。彼らも歴史の審判を受けた際には「正しいことに参加するために抗命した」と弁解したが、今回の非常戒厳後に抗命した指揮官らも同じ言い訳をしている。

 恐らく彼らは数年後、「良心的軍人」「不義に屈しない軍人」という名で民主党の公認を受け、政界に進出する可能性が非常に高い。過去の新軍部の軍人たちがそうであったように。
軍隊は徹底的に上官の命令に従う組織である。一般的な組織構造との最も大きな違いだが、抗命は戦時には即決裁判(死刑)に処されるほど、軍では最も重い罪とされる。国軍統帥権者の命令に違反する指揮官の指揮を受ける軍人たちが、指揮官の命令に対して任意の判断で逆らえば、その責任は誰が負うべきだろうか。

 このような事態が発生した理由は、文在寅前大統領が退任直前に行政府、司法府、軍組織など社会全般に自分の追従者を任命したためである。彼らが尹錫悦政権の政策に対してことあるごとに反対するのは当然といえる。