雑談する人々写真はイメージです Photo:PIXTA

職場でも職場以外のコミュニティでも多様性が求められるようになった現代。こうした時代に求められるのは受け身にならず、人や場、組織を能動的に「回す力」だ。仕事でもプライベートでも使える「回す力」の身につけ方とは?※本稿は、楠本和矢『人・場・組織を回す力』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・編集したものです。

“その他大勢”を避けるため
ポジションにリアクション

 友達でも同僚でも、「回せる」人に共通しているのは、周りにいるメンバーから「好意」を持たれているということです。逆にそうでない人に「場を回す」機会は訪れません。第一段階としては、まず「この人といても不快ではない」「一緒にいて気持ちいい」と思われる振る舞いをすることです。

 ただし、好意をもってもらおうとするばかりに、相手があなたのことをあまり知らない状態や、あなたも相手をよく分かっていない状態で、無理して自分の話でアピールすることは得策ではありません。相手の性格によっては、嫌がられてしまう恐れもあります。

 かといって、何も話さなかったり、相手の話に対して薄い反応を繰り返していたりしても存在感が出せず、「不快ではないが、いてもいなくても変わらない人」とみなされてしまいます。

 まずやるべきことは、相手の話に対して、何らかの感想や考えがあることを相手に示すために、きちんとリアクションすることです。これは、人間関係を構築する上での、出発点とも言えるでしょう。

 もし自分が誰かに何かを話して、弱いリアクションしかくれなかったら、その人に再び話を振ろうとは思いませんよね。相手からパスをもらえなくなると、そこから話を拡げたり人に振ったりすることもできません。いつまでも「その他大勢のひとり」という位置付けが続いてしまいます。

 その際のポイントは、「ポジティブに」ということです。何気ない楽しい会話であれば、全く難しくはありません。気を付けたい状況とは、相手が話す内容について「訂正」したいと思ったり、「異論」があったりするときです。

 そこで冷静になってほしいのです。その場で訂正をしたり、異論を述べたりすることにどれだけの意味があるのだろうか?と。自分の正論を伝えるメリットと、相手に否定的な反応を返すリスクを天秤にかければ分かるはずです。筋を通さなければいけないところで頑張ればよいのです。

「いい話だな」と思ったら
その気持ちを言葉にする

 最初にご紹介するコツは、相手の話に対して、「ひとまず共感する」ということです。これが効果的である理由とは、「自分と同じ考えを持っている人に対しては、共感しやすい」という人間の心理の存在です。それをやることで何のリスクも生じることはありません(ただし、人の悪口に対して共感してはいけません。詳細は後述します)。

 相手が話す内容について、本当に納得ができたら、「なるほど、いい話だな…」と思っているだけではダメです。その気持ちを言葉で表さないと、決して相手には伝わりません。自分の気持ちは、想像以上に相手に伝わっていないものです。