変形性股関節症に占める股関節形成不全の割合は、成人男性では0~2%、成人女性では2~7%となっています。つまり、特に女性に多いというわけです。女性のほうが、生まれつき寛骨臼が浅い人が多いのだと考えられています。
寛骨臼が生まれつき浅い場合、年齢を重ねるにつれて股関節に違和感を覚える人が増えてくるでしょう。
股関節に負荷がかからない
日常の動作を身につける
先ほど、1次性の変形性股関節症では、座り方や歩き方などの日常的に繰り返される体の使い方の影響も大きいという話をしましたが、これは股関節形成不全の人にも当てはまります。つまり、症状を軽減し、股関節が摩耗するスピードを落とすには、日常生活の動作もポイントになるのです。
例えば、「イスに座るとき、常に同じ脚を上にして組むのはよくない」とよくいわれます。同じ脚を上にして組んで長い時間を過ごしていると、立ち上がろうとしたとき、一瞬、股関節に力が入らない、ということが起きます。それはなぜかというと、股関節の周囲にある筋肉が1つの方向に長い間引っ張られることで、大腿骨頭があるべき位置からズレてしまったためなのです。
また、歩くときに常に足の着地が不安定になるような、底の厚い靴を履くことでも、大腿骨頭の位置がズレやすくなります。靴の選び方も重要ですね。
股関節に違和感を覚えるようになって、病院でレントゲンやCT(コンピューター断層撮影)などの画像診断を受けた結果、実は股関節形成不全の傾向があるというこが判明する人もいるでしょう。そのような人ほど、股関節に負荷がかからないような日常の動作について知っておいたほうがいいかもしれません。
ところで、なぜ女性のほうが股関節形成不全の人が多いのでしょうか。実は、その理由はまだわかっていないそうです。
ただ、男女の骨盤は、明らかに形が異なっています。
女性の骨盤は、男性に比べて横に広がっていて、高さが低いのが特徴です。また、骨盤の恥骨の角度である「恥骨下角」を見ると、女性のほうが約80度と広がっていて、男性は約60度と狭くなっています。