得意な運動の男女差は
骨盤の形状で決まる?
さらに、骨盤の上のほうの入口は、女性のほうが左右に広い楕円形になっているのに対し、男性は左右に狭いハート形になっています(図3)。
女性の骨盤がこのような形になっているのは、胎内で赤ちゃんを育み、出産のときは骨盤を赤ちゃんの頭が通るようになっているためです。出産が近づくと、女性の骨盤はさらに開いていきます。
女性の骨盤のほうが横に広がっていることで、股関節形成不全や1次性の変形性股関節症になりやすいのかどうかはわかりません。ただ、骨盤の男女差から、運動に関しては面白いことが推測できます。
中野ジェームズ修一 著
股関節の支持性と可動性の観点から見ると、骨盤の幅が広い女性は支持性が高く、幅が狭くて縦長の男性は可動性が高いといえます。また、運動効率でいうと、左右の大腿骨の位置が狭いほうが走ることに適しているため、男性の骨盤のほうが走ることに向いており、女性は支持性に優れているのでジャンプをして着地する運動に向いているといえるでしょう。得意な動作には必要な筋肉も付きやすいので、男女によって得意な競技が異なると考えられるかもしれません。
ただ、以上はあくまで骨格の違いをもとにしたお話です。実際の運動は、神経系や身体能力、筋肉量や筋肉の付き方によっても左右されます。個人の運動の得意・不得意までをすべてこうした男女差で説明できるわけではありません。それもまた面白いところなのですが。