価格も魅力的だ。輸入車ながらスタート価格は329万9000円、全グレードが300万円台に収まる。渋滞から高速走行までドライブを完全サポートするトラベルアシストをはじめ、LEDヘッドランプやスマートワイヤレスチャージングなどを標準装備した上でのプライスである点に価値がある。試乗車は中間グレードのTSIスタイル(359万9000円)。デザインパッケージ(専用インテリア、ブラックドアミラー、18inアルミ、Beatsプレミアムサウンドシステムなど/9万9000円)とセーフティパッケージ(レーンチェンジアシスト&駐車支援システムなど/8万8000円)、さらにディスカバープロパッケージ(純正ナビシステムなど/16万5000円)を装着したフル装備状態だったが、それでも395万1000円。内容を考えるとお買い得である。
ボディサイズも絶妙。スリーサイズは4140×1760×1580mm。日本の道路環境でも扱いやすく、かといって小さすぎない。ポロ(同4085×1750×1450mm)がベースなだけに全長と全幅はほぼ同等。全高を高めることでSUVらしい存在感と運転のしやすさを実現している。SUVはオーナーを行動的にするクルマだ。T-Crossのコンパクトサイズは、気軽に出掛けようという気分にさせる。ファーストカーとしてもセカンドカーとしてもピッタリのいい相棒である。
すべてに高い完成度を実現した優等生
パフォーマンスはなかなか優秀
実際にステアリングを握ると、T-Crossがなぜ選ばれるのかが実感できた。乗り込む段階から、いい雰囲気を感じる。適度に重く、しっかりとした印象のドア開閉に始まり、VWらしい張りを感じるシートの作りは絶妙。もちろんドライビングポジションは自然な設定で、適度にアイポイントが高いため視界もワイドだ。T-Crossには、ドライバー、そしてパッセンジャーを優しく包み込む高い機能性と、適度な“いいもの感”がある。
パワートレーンは、1Lの直3DOHCターボ(116ps/200Nm)と7速DCTの組み合わせ。駆動方式はFFだ。メカニズム面は基本的に従来と共通。改良する必要がなかったからだろう。