日銀が前回利上げを実施した際には世界的に株価が急落した。今回予想される利上げが混乱を招く可能性は低いとはいえ、円相場の先行きには波乱が待っているかもしれない。日銀は23、24両日開催の金融政策決定会合で主要政策金利を0.25%から0.5%に引き上げる。ロイター通信が調査したエコノミストの約8割がそう予想している。実際にそうなれば、金利は2008~09年の世界金融危機以来の水準に上昇することになる。賃金の堅調な伸びと2%を上回り続けるインフレ率を背景に、日銀は日本経済が段階的な引き締めに耐えられるという確信をようやく得た。昨年の日本企業の賃上げ率は平均5.1%と、33年ぶりの大きさとなった。日銀が昨年7月下旬に実施した直近の利上げは、米国で毎月発表される雇用統計が低調だったことと重なり、世界で激震を引き起こした。8月初旬に東証株価指数(TOPIX)は3日間で20%下落し、ナスダック総合指数は8%下げた。低金利の円を借り入れ高利回りの他の資産で運用する「キャリートレード」の巻き戻しが大きな要因になったとみられる。
利上げに動く日銀、トランプ関税の影
円相場の先行きを巡り日銀が直面するジレンマとは
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