12月決定会合、政策金利据え置き
円安1ドル157円台に加速
日本銀行は12月19日の金融政策決定会合で、追加利上げを見送り、金融政策を維持することを決めた。
会合後の記者会見で植田和男総裁は、基調的な物価上昇率は展望レポートの予測期間(2024~26年)の後半に物価安定目標の2%に向けて上昇していく見通しであり、その下で引き続き利上げを進める従来の姿勢が変わっていないことを語った。
その一方で今回の会合で利上げを見送った理由として、来年の春闘に向けた賃上げのモメンタムを確認するために、もう少し(ワンノッチ)情報を待ちたいということ、日本経済にも大きな影響を与える可能性がある米国のトランプ次期政権の関税政策などの中身がはっきりせず不確実性が高いことの2点を説明した。
しかし、春闘もトランプ次期政権の関税実施も、その全容をいつになれば把握できるのかは分からない。春闘については、大手企業は来年3月に賃上げの妥結があるが、中堅・中小企業の賃上げ動向を見極めるまでにはかなり時間がかかる。
トランプ次期政権の関税策についても、1月20日の大統領就任日に一部が打ち出されると予想されているが、全容が明らかになるのはいつなのかは分からない。
筆者は来年1月の次回決定会合での利上げをメインシナリオとみているが、次回利上げは、来年1月ではなく、3月あるいはそれ以降に後ずれする可能性も頭に置いておく必要があるかもしれない。
19日の決定会合後に円ドルレートが一時1ドル157円台をつけるなど一段と円安が進んだのは、市場が利上げ後ずれの現実味を意識しているからだろう。