「自分の仕事に足りないことをめちゃくちゃ言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「頭の悪い社長」のやり方
情報は、自分で取りに行くものでしょうか。
というのも、一次情報をつねに現場に取りに行こうとする人がいるからです。
「自分の目で見ないと気が済まない」
というパターンですね。それについて触れておきましょう。
もちろん、現場に行って状況を見ることをすべて否定はしません。
ある程度の「観察をすること」は有効です。
ただ、それに時間をかけすぎるのは、NGです。
多くの場合、現場に行ったとき、その人が収集できる情報には限界があります。
工場見学をして、その工場のことをすべて知ることができるでしょうか。
おそらく、さわりの部分しかわからない。
現場のことは現場の人が知り尽くしているのが大前提です。
さらに、現場では、ある程度の配慮がなされます。
たとえば、飲食チェーンの社長が、あるお店に視察に来ることを想像してみてください。
建前では、「抜き打ち」と言っているかもしれません。
しかし、事前に「来週は社長が来るから、いつも以上に徹底するように」ということが店長に伝わるでしょう。
いつも以上に、丁寧に掃除をし、接客をし、挨拶の声も大きくなる。
悲しいかな、人はそういうものです。
そこで社長が取ってくる情報は、本当にリアルな一次情報なのでしょうか。
「現場に足を運べ」というのは、必ずしも正解ではありません。
ある程度は、現場に任せていくしか方法はないのです。
「いい情報だけ」を報告しても仕方ない
「それだと、いい情報だけを上にあげるのでは?」
という反論があります。
しかし、考えてみてください。
現場において、目の前に問題があるのであれば、それを解決しなければならないでしょう。
それを解決するために、上の判断を仰ぐ必要が出てくる。
現場の責任からは逃れられません。
だから、もし悪い情報を見て見ぬふりしてしまうと、結果的に「自分で自分の首を絞めることになる」のです。
自分の責任に向き合うと、自然と「悪い情報を報告する」ということができていきます。
「スタッフの人数が足りていません」
「教育のために、研修が必要です」
「隣にライバル店が進出しています」
と、情報を上にあげる。
それをしないと、「売上を達成できないかもしれない」し、「任された事業が失敗するかもしれない」のです。
自分ごとだから、悪い情報でも堂々と言えるはずです。
それを受けて、上の立場の意思決定者には次の一手を打つことが求められます。
もちろん、その情報をもとに、
「隣のライバル店がどういう状況なのかを見に行く」
という程度のことは、意思決定の前に必要かもしれません。
ただ、時間をかけすぎないのが大事です。
どのように決めるかが、「パーフェクトな意思決定」によって身につきます。
以上のように、それぞれが自分の責任を果たすために、自然と情報があがるような職場を作ることが大事です。
(本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。