歴代ガンダムシリーズに親しんだ人から見るとひょっとしたらものすごく大きな変化があるのかもしれない。しかし、ガンダム初心者の視点だと、たとえば庵野秀明氏が総監督を務めた『シン・ゴジラ』鑑賞の際は「ゴジラがエヴァのテンションで!」という衝撃があったが、『ジークアクス』にその手触りはない。
しかしエヴァシリーズを傑作たらしめている、目立たないながらも作品の雰囲気作りに大きく寄与しているポイントが多く散りばめられているところなどは『ジークアクス』にも見られて(日常の中で描かれる巨大な兵器の非日常性など)、ここがエヴァを制作したスタジオカラーの色なのかなと感じた。
劇中歌の雰囲気も大きく影響していたが、全体として「新しい現代のおしゃれなアニメ」という印象であった。
まっさらな初心者でも楽しめる?
筆者はガンダム初心者と自称しているが、子どもの頃にSDガンダムというデフォルメされた2等身のガンダムが流行っていて、カード、プラモ、ファミコンを通して親しんできたので、ガンダム本編のストーリーはまったく知らずとも、どんなキャラ・機体があるのかだけは知っていた。だからまっさらの初心者というわけでもない。
だが、『ジークアクス』はさらなる初心者、「ガンダムというのはあの白いロボット……という認識で合っていますか?」くらいの初心者でも楽しめたという声を複数耳にしている。
まず、物語はスタイリッシュにサクサク進んでいく。劇場版『ジークアクス』は、実は日本テレビ系列で放送予定の数話を劇場版用に編集して先行公開されたものである。そのためか必要な情報・要素が次々に公開されていく様はストレスなく、テンポの良さになっている。展開が早すぎて掘り下げが物足りなく感じられる部分も個人的にはいくつかあったが、大筋のストーリーはそこまで難解ではないし、きたるテレビでの放送を見ればこのモヤモヤした部分も晴れるであろう。