何より、本作の上映時間81分という短さであり、掘り下げを進めて上映時間を延ばすよりは、この数字を達成して得た恩恵が大きかったように思う。

 冒頭の巨大なロボットが動くさまを見て、長いことロボットとは無縁の生活をしてきたにもかかわらず、これは内なる少年の心だろうか、「やっぱり巨大ロボットが動くさまはかっこいい」という気持ちを思い出させられた。

背景や劇中歌、ロボット以外にもワクワク感

 そのほか、劇中登場する心引かれる小道具としては巨大建造物、近未来、九龍城的なスラムなどがあり、このあたりは巨大ロボットとまったく関係ない風景・背景であるが、一般的に理解されうる「工場萌え」のような「萌え」を感じ、観ていて強くワクワクさせられた。

 劇中歌の数々は素晴らしかった。曲そのものが素晴らしかったのか挿入のタイミングと曲に合わせたアニメーションの躍動が素晴らしかったのか、おそらくその両方だが、あれらが『ジークアクス』の雰囲気をスタイリッシュで最先端な雰囲気に押し上げることに一役買っていることは疑う余地がない。

 しかし曲の存在感が大きい――もっと平たくいうと音量がでかいので、「あそこまで大きくなくていい」「セリフが聞き取りにくいレベル」といったネガティブな意見もいくつか聞かれた。ただ、おおよその形勢は劇中歌とその音量に肯定的な反応で、普段は同じ映画を2度観たいと思うことなどない筆者も、特にあの曲が流れるシーンをまた体感するためにまた行くことを検討しているくらいである。

 主人公キャラのデザインも、色味が派手で最初はあまり馴染まなかったが、見るうちに性格と見た目が絶妙にマッチしている説得力が伝わってきて、やがてとても魅力的に思えてきた。あとで知ったが、キャラクターデザインはポケモン(『ポケットモンスター サン・ムーン』)などで活躍するイラストレーターの竹氏であった。