「辞めたいって思ったことない…」フジテレビアナの「涙の訴え」が逆効果でしかない納得のワケプジテレビの港浩一社長 Photo:JIJI

旧ジャニーズやフジテレビなど大きな影響力を持つ組織の問題が、立て続けに取り沙汰されている。組織内の問題が発覚した際、外部からの指摘に対して「あの人はいい人だからそんなはずはない」などと必ず口にする人がいる。しかしこういった身内からの評価は有効であるどころか完全に逆効果である。なぜこれをやってはいけないのか。(フリーライター 鎌田和歌)

「中居正広問題」が「フジテレビ問題」に

 フェーズが変わったのは明らかに1月17日のフジテレビによる記者会見からだ。フジテレビは生配信はおろか動画撮影も禁止し、質問も大手紙やスポーツ紙のいわゆる「ペン記者」のみに限られ、NHKや民放各局は会見に参加はできても質問は許されなかった。会見で何を発言するか以前の問題だ。

 記憶に残る旧ジャニーズ事務所の会見もジャーナリストのNGリストがあったなどさまざまに批判されたが、今思えばあれが良心的に見えてしまうほどのひどさだった。フジテレビは今後、報道番組をやるな、あるいは記者を会見に出席させるなと言われても仕方ない。局内にも忸怩たる思いを抱えている記者や社員はいるはずだ。

 あのスタイルでの会見でいいという判断を上層部が行い、それに誰も意見できなかったのであろう点に、組織の体質の一旦が垣間見えるようにも感じる。港浩一社長がバラエティー畑の出身であることはよく知られているが、このような自社の問題発覚時にも報道倫理が脇に置かれているようにしか見えない様子には驚きしかない。

 フジテレビは身内同士での絆が深い企業である印象がある。

 1月20日に放送された『めざまし8(エイト)』では30代後半の男性アナウンサーが涙ながらに「13年働いてきて1度も辞めたいって思ったことない」「大好きな会社で先輩も後輩も含めて、大好きな仲間」などと語ったという。「好きな会社をもっとよくするためにも、調査であったりとか、説明も今後しっかりしてほしい」と調査を求める発言ではあったが、前半の内容については批判的な声も少なくない。