国家公務員総合職は狭き門
専門職が人気の理由

 国や地方自治体などの職員として、社会の基盤を整備し、人々の暮らしを支えるのが公務員だ。大きく分けて、国家公務員と地方公務員の2種類が存在する。

 まず、国家公務員について説明していく。

 国家公務員は、大まかに3つの区分がある。1つ目は行政府で働く総合職、一般職、専門官、2つ目は司法府で働く裁判所職員、3つ目は立法府で働く衆議院・参議院の職員だ。

 行政府で働く総合職は、政策の企画・立案や調査・研究に関する業務を担当し、一般職は、各府省庁や地方機関において政策の立案や実行を支える役割を果たす。専門職は、国税専門官、財務専門官、労働基準監督官などとして、専門的な事柄に対応する役割を担う体制となっている。

 勤務地は、総合職なら基本的に東京・霞が関(中央省庁)が中心だが、一般職や専門職は国の出先機関(地方機関)への赴任もある。

 毎年200人以上の公務員就職者を輩出している立教大学では、2023年度の実績は202人だった。そのうち、国家公務員は一般職(22人)に次いで国税専門官(6人)への就職が多い。

 その理由について、「国税専門官なら、税金関連の特定スキルをずっと磨いていける。専門職は働く地域がある程度限定されており、総合職や一般職より異動が少ない点も魅力なのかもしれない」と、立教大学キャリアセンターの藤澤瞬氏は分析する。

 国家公務員を志望する学生は、国全体を良くしたいという思いから、大規模な行政業務に携わりたいと考える人が多い。その中でも、専門職は転勤が比較的少なく、特定のスキルをじっくり磨けて、長期的なキャリア形成につなげられると考える学生もいるようだ。

 総合職は、東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学などと競合するため、合格のハードルが高く、狭き門だ。そこで必然的に、一般職や専門職を希望する私立大学出身者が多くなるという現実的な問題もある。