地方公務員の希望者は
地元貢献を重視
次に、地方公務員について見てみよう。
地方公務員は、都道府県や市区町村といった地方自治体に勤務し、住民のための行政施策の企画・立案、予算の編成、事務処理などを担当している。
地方公務員を志望する学生の特徴は、子育て支援や防災といったテーマが女性志望者に多く見られる一方で、男性志望者は地域振興や教育関連に興味を持つことが多い。例えば、塾に通えない子どもたちに大学生が勉強を教える学習ボランティアを通じて、社会貢献を目指す人もいる。
また、転勤を望まず、地元に根付いて地元愛や地元貢献を重視する傾向にある。利益追求型の仕事ではなく、社会性のある仕事をしたいという動機もある。「自分の地元が発展する様子を目の当たりにし、その豊かさを住民に届けることに意義を感じる学生もいる」(藤澤氏)という。
まちづくりを志す学生の中には、民間のデベロッパーではなく、行政の立場からプロジェクトを主導したいと考えている人も多い。特に行政においては、制度設計や業者の選定が主な業務となることが多い。再開発なら地元住民との調整が重要で、大変な作業を伴うが、そこにやりがいを感じているようだ。
立教大学では、公務員就職者202人中、各市町村役所が72人、東京都特別区が47人、各都道府県庁が37人だった。
現代社会の特徴として、学生の中には新卒で1人暮らしを選ばず、実家から通うケースも多い。
特に関東圏出身の学生は、実家から通う傾向が強く、東京都特別区や近県の神奈川県横浜市や川崎市、埼玉県などの自治体の人気が非常に高い。初任給が民間企業に比べて少なく、いきなり1人暮らしをするには経済的負担が大きいため、地元から通える範囲での就職を希望するという背景がある。
面接で重視されるプレゼン
SNSやICT人材も重宝
最後に、公務員試験の面接で重視されるポイントや、採用で注目されている資質について解説する。
公務員試験の面接では、プレゼンテーション能力や論理的な話し方が重視されるようになってきた。一部の自治体では、試験の一部としてプレゼンや集団討論を課すところもある。「学生時代に何をしてきたかが問われることが多く、勉強以外にも、周りと協力して活動した経験が求められている」(藤澤氏)。
つまり、筆記試験対策という「勉強」だけではなく、組織内外の調整や折衝といった能力を重視する傾向が強まっているのだ。
自治体によっては、民間企業と同様にSNSの活用やICT人材の募集など、新しい取り組みを行っている。若手がSNSの担当を任されるケースが増えており、SNSに詳しい人材を求めている。
ICTという点では、デジタル化の知識があると重宝されるだろう。デジタル化の推進に伴い、各課との調整やシステム開発の能力も必要とされている。