紙幣銀行業界で求められる人材像とは? Photo:PIXTA

新卒採用において、企業はどのような人材を求め、どの事業に注力しているのか。本連載では、各業界をリードする企業がどのような採用戦略を打ち出しているのか分析し、今後の動向を探る。第6回では「銀行業界」を取り上げ、業界の専門家に最新のトレンドや企業が求める人材像を聞いた。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

人材獲得で激しさを増す
「給与アップ合戦」

 ゼロ金利が続いてきた日本の銀行業界で、大きな変化が始まっている。「金利のある世界」に突入したからだ。金利転嫁の交渉力や有価証券運用のノウハウが重要になってきており、これまでの低金利時代とは異なるスキルが求められるようになってきた。

 銀行業界においては、人材不足が顕著となっている。デフレによる就職難の影響も大きかったが、それだけでない。銀行に差別化やイノベーションが求められていなかったことも要因として挙げられる。

 しかし、現在は保険や証券など他業界が競争意識を持って金融人材を確保しようとしており、銀行もその波に押しつぶされないよう、高い成長力を持つ人材を探し求めている。

 そんな中、銀行業界全体において給与の引き上げが進行している。例えば、総合商社や保険会社は資本力がある企業は限られているが、銀行はその数が他の業界よりも多い。その分、業界内の人材獲得競争が激しい。

「金利上昇に伴い、銀行業界では新卒者の初任給を引き上げる動きがあり、中堅社員も給与がアップしている。人材確保のための給与アップ合戦が起きている」と、ピクテ・ジャパンの大槻奈那氏は話す。

 これは銀行業界を目指す新卒にとって、悪くない状況だ。

 次ページからは銀行業界の構造や仕事内容、そして採用状況を再確認し、各企業がどのような人材を求めているのかを探る。