PLGは、適切な領域では強力な成長エンジンとなり、それ以外の領域でもその本質を活かすことで競争力を高められます。特に日本企業にとっては、自社の強みとPLGの本質を組み合わせた独自の応用が重要になるでしょう。適用が難しい場合でも、「プロダクト力を基盤にした事業成長」という視点を持つことが重要です。どのような領域であれ、顧客がプロダクトを利用して感じる価値を最大化する努力は、成長の基盤を形成します。
最終的に、PLGは顧客との長期的な信頼関係を築くための方法論といえます。どのような形であれ、プロダクトを通じた価値提供を最大化する努力が、持続的な成長の基盤となるのです。
日本企業が直面する
PLGモデル導入への3つの課題
説明したように、SLGが有効な領域はありますが、日本にはもっとPLG的なアプローチが有効なことも確かです。なので、ここではPLGモデルを導入するにはどうするかを考えてみましょう。
日本企業がPLGモデルを導入し、成功させるには、特有の文化や組織構造に基づく課題を克服する必要があります。代表的な課題は3つあります。
第1の課題は、営業主導文化の根強さです。日本企業では長年、営業力を中心としたビジネスモデルが主流でした。その結果、プロダクトの品質が十分でなくても、営業担当者の説得力で契約を獲得するケースが少なくありません。
時には、品質の低いプロダクトや採算の取れていないプロダクトを、他の商材と抱き合わせて売り込むこともあります。また、営業担当者が解約を恐れ、カスタマーサクセスによるサポートを拒否するケースもあります。このような手法は一時的な売上増加には寄与しますが、顧客が真に求める価値を提供できていなければ、長期的な信頼や満足度の低下を招き、顧客離れを引き起こす危険性があります。
一方PLGでは、顧客が自らプロダクトの価値を認識して利用を開始するため、このような問題が起きにくく、より健全な顧客関係を構築できます。