
森山至貴、能町みね子 著
能町 そう言っていただけるとわかりやすいですね。よく、最近の科学トピックでもあがっていますけど、体の時点ですでに二元論じゃない、っていうじゃないですか。同一人物のなかで、ある細胞の性染色体がXXで、また別の細胞の性染色体がXYだったという例がある、とか(注)。だから、抽象的な自覚、自認の面でいうと、それこそもっと多様だろうと思うんですよね。
森山 たしかに、現在の生物学の水準では、そもそも性別は男女にふたつにきっぱり分かれる、という考えのほうが科学的に誤り、といわれているはずです。卵巣や精巣の発達や性染色体のパターンなど、性別にかかわる特徴がすべて一貫して「男」型、「女」型になるわけでもない、そもそも従来性別といわれてきた要素は多元的な現象の総体であることがわかってきている。そういう意味でも、二元論は誤りだといえるかもしれないですね。