塩野義製薬が中国最大の保険・投資会社、平安集団と袂を分かった「本当の理由」Photo:医薬経済社
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 24年12月23日、塩野義製薬は中国最大の保険・投資会社である中国平安保険集団との合弁解消を発表した。両社が事業ポートフォリオの見直しを進めるなか「それぞれコア事業に集中することを決めた」(塩野義広報)からだ。業界からは高い関心を寄せられていたが、20年7月の発表からわずか4年ちょっとで幕を閉じることとなった。

「よりによって中国企業と組むからだ」「やはり上手く行くわけがない」。口さがのない業界関係者からはこんな声も聞こえてくる。しかし、これからの国内製薬企業の海外事業のあり方を考える上でも、やはり大きな可能性があったことを論じたい。

 両社が合弁設立契約を結んだのは20年7月24日。塩野義が51%、平安集団が49%を出資する合弁会社「平安塩野義」で、(1)データドリブン創薬・開発基盤、(2)人工知能(AI)技術による製造・品質管理体制、(3)オンライン・トゥー・オフライン(O2O)を活用した販売・流通基盤――に関する取り組みを、新薬、後発品、OTC薬のそれぞれで進めていくことをうたった。これを受け、両社は香港と中国・上海市に拠点を開設。中国に加え、アジアでも市場の開拓・深耕に臨むとした。