総予測2025#98Photo by Manami Yamada

塩野義製薬は2023年、20年ぶりに大規模な希望退職者募集を敢行した。リストララッシュの製薬業界で今必要とされている人材、そして自身の後継に求める資質は何か。特集『総予測2025』の本稿では、社長就任17年を迎える手代木功会長兼社長CEOを直撃した。(聞き手/ダイヤモンド編集部 野村聖子)

製薬リストラは企業側の都合ではなく
消費者のニーズに対応した結果

――MR(医薬情報担当者)をターゲットとして2023年に希望退職者募集を実施したとき、塩野義製薬の大規模なリストラは20年ぶりということで、製薬業界で注目を集めました。業界は24年もリストララッシュが続きました。

「リストラ」というと、日本では経営陣が勝手に従業員を整理するみたいに捉えられるところがあります。本来の“リストラクチャリング”(企業改革、組織再編)に改めて言葉の意味を再定義していただきたいですね。

 製薬会社が「営業を削っている」みたいにいわれていますが、会社側の都合ではなく、サービスを受けられる方が何を求めているのか、なんですよ。医薬情報提供の在り方が大きく変わる中で、お客さまのニーズに応えられるように、販管費の内訳をシフトしていかなければならないんです。

 ただ、業界全体で人材の流動性が上がっている中で、会社が苦しい状況じゃないうちは「薬業に勤めるのって夢があっていいな」と思っていただけるよう、一定の雇用責任は果たしたい。

リストララッシュの製薬業界で今必要とされている人材、そして自身の後継に求める資質とは何か。次ページで、手代木氏が明らかにする。