配信者が引き起こすさまざまな行動や事件は、一部の視聴者を強く引き付ける。そして彼らが注目を集めた結果、社会的なルールや常識を無視する行動が助長される。

 この背後には、視聴者数がそのまま金銭的利益に直結するという、プラットフォームの仕組みが影響していることは言うまでもない。

 しかし、それだけで彼らの行動のすべてを説明できるわけではない。中にはプラットフォーム側に収益化を無効化されても、配信を続ける配信者がいるからだ。

金銭的なうまみがなくても
配信を続ける動機は何か?

 なぜこのような「迷惑系配信者」が次々と登場し、ある意味で「成功」してしまうのか。彼らが配信を続ける分かりやすい動機である「収益化」も含め、それ以外の背景を5つに分けて分析する。

1.目立つことでの 「収益化」

 YouTubeのようなプラットフォームでは、動画の再生回数が収益化に直結する。再生回数が増えれば、それに比例して広告収入も増える仕組みである。ここで重要なのは、「目立つこと」が収益に繋がるという点だ。

 すでに散々言われていることではあるが、露悪的な内容や過激な言動は、視聴者を引き寄せやすく、その結果、再生回数を増やしやすい。そのため、配信者は自主規制を無視してでも目立つことに注力しがちで、しばしば社会的に不適切な行動に出る。

 この「お金を儲けたい」という動機はシンプルだが、配信者が過激化していく根本的な原因の一つと言える。

2. 承認欲求の充足

 「迷惑系配信者」に限らず、SNSを利用する多くの人々が抱えるのが、承認欲求である。インフルエンサーや配信者は視聴者からのリアクション、コメント、そして「いいね!」が直接的なモチベーションとなる。

 迷惑系配信者の中には、その行動が極端であるほど、視聴者の反応が強く返ってくることを理解し、自己の存在価値を確かめるために過激な行動を取る者も多い。

 視聴者からの賞賛や支持によって自信を得る。そして「目立ち続けるため」にさらに過激な行動を取る、という負のスパイラルが起きやすい。承認欲求が満たされる過程で配信者はさらに注目を集めようとし、次第に社会的規範を無視した行動に出るのである。