孤独な社会のそこかしこにある
抜け出せない「サークル」

 迷惑系配信者が注目を集める背景にはプラットフォームの仕組みが密接に絡んでおり、プラットフォーム側の対策も必要である。

 一方、彼らが引き起こす社会的な問題を考えた時、最も厄介なのはその「集団力」だと感じる。

 配信者が周囲と形成する「サークル」は、いったん中に入ってしまうと外部からの非難や批判をほとんど無視することができる。参加者はサークル内の人間関係に依存し、抜け出せなくなる。彼らの交流はオンラインだけではなく、実際の嫌がらせ現場や、その後の飲み会でも行われるからだ。

 酷な言い方をすると、それまで現実に居場所が見つけられなかった人たちが、迷惑系配信者が作り出すサークルで初めて「友達」を見つける。そういうケースがあるのだ。

 こうなってくると外部からの説得は難しく、抜け出すきっかけとなるのは内部抗争や内部分裂である。

 ここまで読んで気づかれた読者の方もいるかもしれないが、このような「サークル」は、迷惑系配信者を中心とするものだけではなく、現代ではそこかしこに見られる。

 孤独や不安につけ込み、閉じられた人間関係への依存に誘うワナは無数に存在する。誰もが肝に命じておきたい。