私の家ではマイバッグを徹底して、よほどの事情がない場合はスーパーで有料のレジ袋を買うことはありません。にもかかわらず、ここ数年、毎週出す資源ごみの量は増える一方です。中身を見ると調味料の容器やスナック菓子の包装、そして牛肉や魚のトレイなど。

 よく買って帰るせんべいの菓子袋をみると外袋の内側に透明のトレイが敷かれて、その中に個包装のせんべいが入っています。比較的高価な商品に多いこの過剰包装は、インフレ経済下ではステルス値上げに役立っています。包装を全部捨てて、外袋に中身だけを入れ直すと半分以下の量しか入っていないのです。

 結局、ステルス値上げを優先したい企業としては、脱プラは後回しにしているという事実があります。政府もあうんの呼吸で、レジ袋運動以降は、口を閉ざして脱プラの指導は声高にはしていません。

トランプ大統領が暴いた
エコ満足の偽善

 さて、話をもう少し複雑にしてみましょう。

 日本経済新聞社に『ウミガメはポリ袋で死なず 悲話が生む「脱プラ」の矛盾』という記事が掲載されました。その中で、個体数が減少しているのは「ポリ袋を食べてしまうアオウミガメ」ではなく、「ポリ袋をあまり食べないアカウミガメ」だといいます。

 海洋投棄されたポリ袋は海の比較的浅い場所を漂うため、誤食をするのは浅いところに生息する草食系の生き物で、アオウミガメもその仲間です。一方で個体数が減っているアカウミガメは比較的深い場所に生息していて、肉食傾向が強いせいもあってアオウミガメのように海藻と間違えてポリ袋を食べる傾向が少ないといいます。

 そして、アカウミガメが生息する深い海では最近、漁業に異変が起きています。たとえばイカが獲れなくなっている。地球温暖化で海の生態系が変化したせいだと言われますが、そのイカもアカウミガメの食糧です。

 それで視野を海の中から地球全体に広げてみると、確実に起きていることは気候変動と、それに伴う生態系の変化、そして気候災害です。