
スギ花粉の飛散がピークを迎えている。
今年は昨年夏の猛暑と日照時間の影響で、東北~関東甲信越が「やや多い」、東海、近畿以南は「多い~非常に多い」と花粉症持ちにはつらい毎日が続く。
ベテラン(?)の花粉症持ちには自己流の方法論があるだろうが、飛散量が過去10年間で最大になりそうな今季は処方薬もうまく使って「重症化」を防ぎたい。
たとえば処方薬は欲しいけれど、そのたびに通院するのは煩わしいという方は、2022年度に導入された「リフィル処方箋」を発行してもらえるか否か、医師に聞いてみよう。1回の受診で、最大3回まで繰り返し同じ薬を処方してもらうことができる。毎回同じ調剤薬局でなくても薬を受け取れる点もメリットだ。スキマ時間をうまく使おう。
リフィル処方箋の対象ではないが、眼の痒みがひどく接客などで点眼薬をさすタイミングを逃しがちなら、昨年5月に承認された「エピナスチン塩酸塩眼瞼クリーム(商品名アレジオン眼瞼クリーム0.5%)」を処方してもらえないか眼科で聞いてみるといい。
上下のまぶたにクリーム剤を塗ることで、結膜に有効成分が吸収される「塗り薬」で、抗ヒスタミン作用とアレルギー反応を引き起こす物質の放出を抑える二つの作用がある。
うれしいのは1日1回の塗布で24時間効果が持続すること。就寝前に塗布すれば、朝から涙目になる煩わしさが軽減できる。
1チューブあたりの薬剤費はおよそ1000円(本人3割負担の場合)だ。1チューブを1ヵ月かけて消費するなら、市販薬プラスアルファの薬剤費で済む。
花粉症の「重症」とは、くしゃみや鼻をかむ回数が1日11回以上、または1日のかなりの時間を口呼吸でしのいでいる状態だ。一説では重症患者のパフォーマンス(仕事や勉学の効率)は普段の状態から半減し、糖尿病や難病の乾癬より生活の質が悪化する。
メガネやマスクの装着、鼻うがいなどで花粉の侵入を物理的に防ぎつつ、市販薬と処方薬をうまく使い分けていこう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)