
小学校受験は「親子の試験」と言われており、子どもの成績以上に親が作る願書、面接態度、そして家庭での教育方針が何よりも重視されるのだという。お受験解説の第一人者である著者が小学校受験の攻略方法を徹底解説する。本稿は、狼侍『小学校受験は戦略が9割』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
小学校受験を志すなら
両親の足並みを揃えよう
ご家庭の中で「小学校受験をしよう!」と先に考えるのは、教育環境の魅力を直感的に受け取る「お母様」が多いようです。一方で、公立小学校出身で自力で上り詰めたお父様や、中学受験経験者のお父様は、小学校受験に懐疑的な場合が多いように感じます。
逆に夫婦のどちらか、もしくは両方が私立小学校経験者だと、取り組む夫婦間の意思決定はスムーズに進むケースが多いでしょう。
家庭内での夫婦間の意見がどうであれ、小学校受験を志すと決めたのなら、いずれは両親の足並みを揃えなければなりません。本文を通じて、その魅力や仕組みをご夫婦でご理解いただき、話し合いのきっかけにしていただければと思います。
では、ここで「小学校受験」の概要を少し整理してみましょう。
そもそも小学校受験とは「合否判定のある国立・都立小学校と私立小学校の選抜試験」のことをさします。それぞれを具体的に見てみましょう。
【国立小学校】
その役割は「国の教育研究機関」です。各学校に個性こそありますが、初等教育の研究とその研究成果の発表、そして教員育成が主な役割。そのため、全国各地に現在67校が存在しています。
したがって選考についても、教育研究機関にふさわしい素養を持つ子どもを選抜する試験となっています。また公共性の観点からか、1回、ないしは2回の「抽選」での選抜があることも特徴です。授業料は無料。教材費や設備費等(年間10~30万円程度)の負担があります。
【都道府県立小学校】
2022年4月に開校した、東京都立立川国際中等教育学校附属小学校が、現時点では当てはまる唯一の学校です。立ち位置としては、国立小学校と私立小学校の中間。
研究機関という位置付けではないものの、一次選考と三次選考に抽選選抜があり、国立小学校と同様に、公共性の高い教育機関です。