
小学校受験において、受験者と学校の相性を見極める選考方法は「相性選考」と呼ばれる。その選考基準は主に「身元確認」「親の資質」「本人の能力とポテンシャル」の3つだ。その中でも、実は子ども本人の仕上がり以上に重要視されているのが、「身元確認」と「親の資質」なのだという。はたして、その理由とは?本稿は、狼侍『小学校受験は戦略が9割』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
小学校受験の「相性選考」で
合否を決めるポイントは?
小学校受験の「相性選考」は、以下の3点で行われます。
1点目が身元確認。言い換えると、「家庭背景」です。
2点目が親の資質。いわゆる志望動機と家庭の教育方針の見極めです。学校の教育方針への理解、そして家庭の教育内容との相性が問われます。
3点目は本人の能力とポテンシャルです。学力、運動能力、協調性……どれを重視するかは学校それぞれです。
私立小学校受験は、わが校に合うと思った家庭と子どもを選抜する「加点方式」です。合わないと感じた家庭とその子どもを落としていく減点方式ではありません。
「受かるのに理由はあるけれど、落ちるのに理由はない」と言われるのはそのためです。立教小学校の田代正行校長は、「ご子息が不合格の場合は、学校に見る目がなかったとお考えください」と公言されています。
建前もあるでしょうが、実際、幼児全てのポテンシャルや、各家庭の姿を完璧に見抜くことは難しいのです。
「家庭の身元確認」が
受験で必要不可欠な理由
家庭の身元確認とは、「わが家はこういった素性の者です」というのを伝え、「このご家庭ならば、わが学園に合うだろう」と判断してもらうステップです。
就職活動で言えば、最終学歴や親御さんの職業などが該当します。建前上は学歴での判断はないと言っても、それが有名無実なのはご存知の通りです。
この家庭背景のことを、小学校受験界隈では一般的に「属性」と表現します。
また、多くの人が耳にしたことがあるだろう「縁故」(いわゆるコネ)は、この属性の中の1つです。大事なところなので、少し詳しく見てみましょう。
なぜ身元確認をするのか、私立小学校創立の歴史にその答えはあります。1874年に日本初の私立小学校である慶應義塾幼稚舎が創立されて以降、特に1900年前後には多くの私立小学校が創立されました(学習院初等科は、1947年までは官学)。