子どもたちが学びを楽しく感じるタイミングは、大きくわけると3パターンに分かれるという。「成果がでる楽しさ」「知的好奇心が刺激される楽しさ」「一生懸命頭を使う楽しさ」。それぞれの楽しさを子どもに伝えるために、大人が心得るべき“接し方”とは。本稿は、佐藤 智『10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXだから知っている算数のできる子が家でやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
学びの土壌を耕す低学年は
興味を勉強に絞らないのが重要
算数は論理を積み上げていく教科です。
そのため、身のまわりの出来事や物事に「なんでだろう?」と興味関心を持つことは、論理思考につながり、そのまま算数の学力につながっていきます。
とくに、高学年の複雑な問題に差し掛かったとき、論理思考に強いことは大きな武器になります。
興味関心は、勉強だけにとどめておく必要はありません。
たとえば、「うちの子、ゲームが好きで困っています」といった保護者のお悩みはよく聞きます。健康を害するほど没頭するのは問題ですが、「ゲーム=悪」というわけではありません。ゲームでうまくクリアするために何が必要かを考えること自体は、頭を使うトレーニングになります。
SAPIXに通う子どもたちの中にも、エイプリルフールにいかに鮮やかに人を騙すかを全力で考えていた子や昆虫をペットとして家で放し飼いにするにはどうしたらいいかを考え抜いていた子がいました。万が一実行されれば、家族は大パニックになりますが、思考力はあらゆるシーンで鍛えられるものです。
つまり、よく頭を使う子どもの興味関心は、必ずしもペーパーテストの勉強にひもづく内容に限定されるものではないのです。
SAPIXでも、「そんなところに!?」という点に興味を持った子が、次第に勉強への関心も広げていくことは、めずらしくありません。
いわゆる「優秀な子」のイメージとして、大人は「言われたことを言われた通り、きちんと真面目に勉強する子」を思い浮かべるでしょう。
しかし、勉強だけに興味のある子どもはいません。幅広い興味を持っていて、その中の1つとして算数への興味があるという位置づけなのです。
だからこそ、とくに学びの土壌を耕す低学年の間は、興味関心の幅をいわゆるペーパーテストに関することだけに絞らないのが重要です。
「子どものため」ではなく
親も一緒に楽しむ
子どもの関心は、何によって決定づけられるのでしょう?
どんなことに興味を持つのか、どのくらい掘り下げるのかは、子どもによって異なります。