
小学校受験、いわゆる「お受験」についてどのようなイメージを持つだろうか。「縁故って本当にあるの?」「寄付金はどれくらい払うべき?」「サラリーマン家庭はお呼びでない?」ベールに包まれた「私立小学校受験」の実態を、お受験解説の第一人者である著者が独自の分析をもとに徹底解説する。本稿は、狼侍『小学校受験は戦略が9割』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
中学受験も高校受験も
トレードオフがつきまとう
中学から私立に通う魅力としては、「中高一貫教育による継続した6年間の学び」が第一に挙げられるでしょう。様々な教育環境の中から自分たちの目で学校を選び、高い学力の学友と切磋琢磨する日々は魅力的です。それが大学附属校であれば中高大10年間を受験勉強なく過ごすことができます。加えて、過酷な中学受験を乗り越えたことへの自信や、幅広く身につけた知識や学力は人生の大きな糧になるはずです。
しかし、その一方で、小学校高学年の勉強は熾烈を極め、本人のみならず家族全員がメンタルをすり減らし、多くの受験生がスポーツや習い事を中断する厳しい現実もあることはご存知の通りです。
次に、昨今見直されている高校受験はどうでしょう。その魅力は、何と言っても「小学校6年間を伸び伸びと過ごせること」に尽きます。
中学受験を志していたら諦めていたであろうスポーツや習い事の継続に加えて、小学校から英語学習を始めれば、中学3年間も含めると計9年間、途切れることなく英語力を育むことができます。その英語力は、その後の受験や人生でも大きなアドバンテージになるでしょう。
しかし、高校受験もメリットばかりではありません。公立中学の学区や校長によって学習環境にばらつきがあること、内申書の不安が付きまとうことは見逃せない点かと思います。また近年多くの私学が高校募集を停止しているのはご存知の通りです。
つまり中学受験と高校受験、どちらを選択しても魅力はあるけれど、もう一方の魅力を捨てざるを得ない、まさにトレードオフのような状況だと言えるのです。