「自分に甘い人」と「ストイックな人」。考え方に現れる、たった1つの差とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「自分に甘い人」と「ストイックな人」。考え方に現れる、たった1つの差とは?Photo: Adobe Stock

被害者意識とは?

 人間の精神構造には、自己防衛本能が備わっています。

 私たちは不快な状況やトラブルに直面したとき、無意識に「被害者意識」を抱いてしまう傾向があります。

 この被害者意識は、自分の心を守るため、外部に原因を見出そうとする本能的な働きです。

 心理学では「セルフ・サービング・バイアス」とも呼ばれ、困難な状況に直面すると自尊心を保つために「何が悪かったのか」「誰の責任なのか」と外部に原因を求めるのです。

 この本能のおかげで、私たちは一時的に自尊心を守れるものの、成長の機会を見過ごしてしまうリスクもあります。

「陰謀」にハマる人

 たとえば、政権批判をする人や、権力者による「陰謀」が世界的に進行していると主張する人がいます。

 しかし、こうした姿勢もまた、自己防衛本能の一環として起こっていることが多いのです。

 状況が思うようにいかないとき、あるいは不安が強いとき、個人ではどうにもできない「大きな外部の原因」に責任を求めるのは、心理的にとても自然な反応です。

 したがって、こうした主張をする人が必ずしも「おかしな人」というわけではなく、人間の自己防衛本能の一部としての「被者意識の罠」に陥っているにすぎないのです。

「ストイックな人」はどう考える?

 しかし、成長に集中するためには、この被害者意識に過度にとらわれるのではなく、自分に改善点がないかを冷静に考える姿勢が大切です。

 トラブルや不都合が起きたときに「誰が悪いか」を追及しすぎると、状況を改善するための行動が起こせなくなってしまいます。

 また、周りの環境や他人にばかり原因を求めると、同じ問題が繰り返されることになり、ぐるぐると同じ場所を回って出られなくなります。

 現代社会は非常に複雑であり、予測不能な出来事が数多く起こります。
 こうした状況の中で「ゆるストイック」を実践するためには、自分ができることにフォーカスすることが欠かせません。

 トラブルが発生しても被害者意識にとらわれず、

「今の自分に何ができるか」
「どうすれば同じことが繰り返されないか」

 といった視点で物事に向き合うことで、他者や環境に振り回されることなく前進できるようになります。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。