すでに関係性がしっかりとできている部下が、明らかに落ち込んでいるような顔をしているというなら、「少し元気ないみたいだけど、大丈夫?」と切り込んでみるのもいいでしょう。ただ、急に相手に踏み込んでこられると戸惑う人もいますから、やはり「最近どう?」くらいがちょうどいいのです。

 実際に困ったことが起きている場合は、「じつは……」と相談を持ちかけてくるかもしれません。

 逆に、まったく何も問題が起きていないのであれば、「とくに変わったことはありません」との返事のあとに、「ああ、そういえばA社の案件が……」などと、部下が上司に伝えたいと思っていた話が聞けたりするかもしれません。

「何か問題はない?」はなぜNGなのか?

 こういうケースで気をつけてほしいのは、「何か問題はない?」「何か言いたいことはない?」といった質問の仕方です。

 問題が起きていることが前提のようにも聞こえてしまい、部下は、「問題が発生したという話が上司の耳に入っているのかな?」「自分がどこかで失敗したと思われているのか?」などと警戒してしまう可能性があるからです。

「最近どう?」が「いい質問」なのは、話題の方向性を定めすぎることなく、また部下にプレッシャーをかけないですむため、警戒心を抱かれにくいからでもあります。

 このように、何を話すか相手に委ねる形の質問のことを「オープンクエスチョン」といいます。

「最近どう?」と問われた部下はおそらく一瞬、「一体何について話せばいいの?」と考えるでしょう。

 裏を返せば、それはなんでも自由に話せるということ。話すテーマを決めるのは、問われたほうだからです。

 この質問で、自然と部下に会話を委ねてみると、思いのほか部下も話をしやすくなります。予定調和でないぶん、部下が今、本当に一番気になっていることに話題が向かいやすいのも、うれしい効果です。

 なかには、仕事以外のところに悩みがあるけれど、「プライベートのことなど上司に話していいのだろうか」と、内心で葛藤している人もいるはず。もし部下が言い淀んでいる様子ならためしに、「仕事以外の話でも、自分でよければ聞くよ」と、水を向けてみるのもいいかもしれません。