黒人は鍼の刺激に強く白人は弱い
人種によって鍼の効き目は異なる
若林 民族によっても反応が違うようです。白人は刺激に弱い一方で、黒人は刺激に強いという報告もあります。世界のスタンダードは中国鍼なので、日本鍼よりは効き目が強いもので試した結果ということですが。
仲野 う~ん、疑い深いようですけど、ホンマかなあ。ゲノム解析では人種の違いって思いのほか小さいんですよね。ただ、文化的な差異が影響する可能性はありますけど。そうすると、中国鍼に慣れている人は、日本鍼だと効かないということもありますか?
若林 いや、効きますね。強刺激に慣れている人でも、弱刺激で効果が出ます。鍼の刺し方もいろいろなやり方があって、棘のような鍼を皮膚に浅く打つこともあれば、筋肉まで刺すものもあり、骨まで到達するものもあります。そういうさまざまな鍼があるんだけど、どれもこれも同じ「鍼」とされてしまっているから、鍼灸(しんきゅう)師じゃないと違いがよくわからないかもしれません。
肩こりに効く鍼を刺して失神
鍼治療で起こり得る副作用とは
仲野 鍼にも副作用ってあるんですか?
若林 ものすごい極端にからだの免疫系が落ちてる人は蜂窩織炎(ほうかしきえん)などが起こる可能性はあると言われていますが、いまは鍼も使い捨てなのでほぼないです。あとは、人によって効き目が違うので、少しの刺激でも脳貧血などを起こす人もいます。
仲野 それはあり得るやろうな。
若林 はい。血液の流れを変えたりするので、たとえば座ってる状態で肩こりに効く鍼をしたときに倒れる人がたまにいるんですよね。
仲野 迷走神経反射か。下手したら、若林先生に失神させられましたわっていうクレームが。
若林 訴訟になったら困るんで(笑)、施術のときは横になってもらいます。強い鍼と弱い鍼があるので、人によって使い分けています。筋肉質の男性には太めの鍼を使うことが多いですが、女性の場合は細い鍼を使ったり。