
ネイルケアや関連サービスを提供する「ネイルサロン」の経営破綻が相次いでいる。2024年のネイルサロン経営業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は22件を数えた。前年(14件)から大きく増え、これまで最も多かったコロナ禍の2020年(21件)を上回り、過去最多を更新した。倒産したネイルサロンの多くが「資本金100万円未満」で、マンションの1室を店舗とするサロンなど小規模店の淘汰が相次いだ。同じ美容サービスを提供する業態ながら、全国にチェーン展開する大型店の破綻が昨年末から相次いでいる「脱毛サロン」とは対照的な倒産状況にある。(帝国データバンク 情報統括部 情報編集課長 内藤 修)
昨年に経営破綻した
2つのネイルサロン運営業者
東京都世田谷区に本社を置くネイルサロン運営業者「Love Work」は、負債1800万円を抱えて、昨年10月30日に破産手続き開始決定を受けた。同社は2009年に創業し、2017年6月に法人改組されたネイルサロン運営業者。世田谷区内に祖師ヶ谷大蔵店と成城店の2店舗を構え、当地において約15年の業歴を有するなど、地元顧客を主なターゲットとしたネイルサロンを運営していた。
しかし、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降は来客数が落ち込んでいた。この間、金融機関からコロナ関連融資を受けて凌いでいたが、2023年5月の新型コロナ5類移行後も客足が戻らず資金繰りは逼迫(ひっぱく)。こうしたなか、経営していたネイルサロンは別会社に譲渡したうえで、当社については2024年5月に事業を停止していた。
仙台市中心部に店舗を展開していた「S.u.t.y」も、昨年6月7日に破産手続き開始決定を受けた。同社は、コロナ禍初期にあたる2020年3月に設立されたネイルサロンの運営業者だった。仙台市中心部に店舗を構え、定額プランを導入するなど価格面で他社との差別化を図り、女性を中心に顧客を獲得していた。
しかし、同業者との競合により当初から来店客数は低調に推移し、ネイリストの人材確保や育成が進まなかったことで収入が伸び悩み、初年度から赤字決算を余儀なくされていた。その後も厳しい経営が続き、2023年3月期の売上高は約400万円にとどまり、家賃などの固定費を吸収できず赤字となり、債務超過に陥っていた。2024年に入ってからも収益改善には至らず、先行きが見通せないことから事業の継続を断念し、負債1200万円を抱えて事業停止に追い込まれた。