![大手塾や老舗予備校がなぜ次々破たん?「学習塾の倒産」が過去最多となった納得のワケ](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/a/e/650/img_aef63dbdc4a17cebe3fa2a64f957c1b6256242.jpg)
ことしも受験シーズンが本番を迎え、受験生たちの戦いが始まった。ところが、年明け早々の1月4日、新宿にある老舗の大学受験予備校「ニチガク」が教室を閉鎖した。歴史と実績ある予備校として知られたが、受験直前の突然の事業停止で、生徒だけでなく従業員、講師も置き去りにして波紋が広がった。ニチガクの行き詰まりは経営環境が激変し、淘汰の波に晒される学習塾の苦境を浮き彫りにした。少子化が進むなかで、入試形態が多様化し、受験のトレンドも変化している。そこに、コロナ禍を転機に出現した新たなツールやプレイヤーが競争を激化させている。2024年は学習塾の倒産と休廃業・解散が過去最多を記録し、先行きの厳しさは増すばかりだ。(東京商工リサーチ情報部 増田和史)
世間の注目を集めた
「ニチガク」の経営破たん
「ニチガク」を経営していた(株)日本学力振興会(新宿区、以下ニチガク)は1982年の創業で、一貫して大学受験専門の予備校を展開してきた。
一時期は都内に3校の校舎を構えたが、最近は東京・西新宿の1校だけになっていた。生徒数は約130人。個人塾レベルの範囲は超えるが、大手予備校などとの規模の違いは歴然だ。教室は新宿という好立地だが、新宿や代々木は大手予備校がひしめく激戦地でもある。
老舗で中堅、という立ち位置だったが、生徒を集める営業手法は前時代的なアナログだった。同社の破産申立書によると、営業部門の関係会社が「受験生を持つ家庭の連絡先が記載されている名簿を手掛かりに、一軒一軒しらみつぶしに電話を架け、生徒を募集するという昔ながらの電話営業の手法を採用し、顧客である生徒を獲得していた」と記載されている。