
新卒採用において、企業はどのような人材を求め、どの事業に注力しているのか。本連載では、各業界をリードする企業がどのような採用戦略を打ち出しているのか分析し、今後の動向を探る。第11回では「飲料業界」を取り上げ、業界の専門家に最新のトレンドや企業が求める人材像を聞いた。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)
酒税統一で何が変わる?
変わりゆく飲酒文化
2023年10月に酒税法が改正され、26年にはビール・発泡酒・第3のビールの税率が統一される。これを受け、ビール市場では、新ジャンルや発泡酒といったカテゴリーが、税率の統一に伴い、スタンダードビール(狭義のビール)へとシフトしつつある。売り場の構成も大きく変化しており、飲料業界で競争が激化している。
また、キリンホールディングスの医薬品事業の成長に代表されるように、飲料以外の多角化の動きが加速している。さらに、海外進出を強化する企業も増えており、市場の拡大を図る動きが目立つ。
酒税の法改正に加え、コロナ禍を経て消費者の価値観も変化した。家庭内での飲酒機会の増加に加え、外での飲酒のスタイルも変わりつつある。かつては「飲み放題」が主流であったが、現在は飲酒の質を重視する傾向が強まっている。企業も同様に、従来の飲み会文化の見直しを進めている。
その結果、「飲酒スタイルは大きく変化している。現在では、酒を主役とするのではなく、食事や会話、空間を楽しむことが重視されるようになった。アルコールはその場を彩る一要素として位置づけられる傾向が強まっている」と、富士経済の担当者は話す。
そんな中、飲料業界の構造や仕事内容、そして採用状況を再確認し、各企業がどのような人材を求めているのかを探る。