
「ウェルビーイング」は、1948年の世界保険機関(WHO)設立の際に考案された憲章で、初めて使われた言葉だ。「幸福で肉体的、精神的、社会的全てにおいて満たされた状態」をいう。新しい幸せの形として用いられ、最近さまざまな場面で耳にすることが多くなった。『ウェルビーイングの新潮流』第16回では、「疲労」と「老化」の関係について、最新研究とともにお届けする。
サウナやヨガ、マインドフルネスが
人気を博している背景
2024年6月に発表された、一般社団法人日本リカバリ―協会による全国10万人調査に基づく「日本の疲労状況2024」によれば、日本人の7割以上が疲労を感じているといいます。疲労は現代の日本における、解決すべき大きな社会問題です。
日本疲労学会による定義では、「疲労とは、過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた心身の活動能力、能率の減退状態」とされています。
また、疲労には「急性疲労」と、数日から1週間以上続く「亜急性疲労」、そして6カ月以上続く「慢性疲労」の3つの段階があります。
「疲労」とは、活動能力が落ちて疲れを感じている状態のことで、「疲労感」は疲労を自覚する感覚です。多くは不快感や活動意欲の低下を伴い、本来の自分のコンディションを維持しにくい状態になります。疲れが強く、長く続くほど、慢性疲労や病気に近い状態といえます。
疲労は、痛みと発熱と共に人間に備わる「3大生体アラーム」の一つで、体調が悪くなっていることを知らせる危険信号でもあります。痛みや発熱があれば、治療したり体を休めたりするように、疲れたときにも何かしらの対策を立てて休養を取る必要があるのです。
近年、サウナやキャンプ、ヨガやマインドフルネスなど、コンディションを整えるアクティビティが人気を博していますが、その裏には、多くの人が抱える「疲労(疲労感)」という大きな問題が隠れているのです。