いつも嫌なことが頭の中をぐるぐる巡ったり、「あの人のことを考えると不安やイライラが止まらない」と感じることはないだろうか。そんなとき、まず大切なのは、問題を解決しようとする前に、一度「ストレスをリセット」することだ。『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)では、ストレスを抱えやすい人のために、科学的に実証された気分転換の方法を多数紹介している。本書は単なる事後対処にとどまらず、そもそもストレスを寄せつけない体質をつくる方法についても解説。ベストセラー『エッセンシャル思考』の著者グレッグ・マキューンも「この本は、人生の本質的でない混乱から抜け出したいと願うすべての人にとって、必読の救いの書である」と絶賛。今回は発売を記念して、特別に本書の内容を一部抜粋、再編集してお届けする。

「他人に親切にする」と自分の幸福感が爆上がりする。その科学的理由とは?Photo: Adobe Stock

他人をサポートすることが「自分の助け」になる

苦しんでいるとき、周りの人にサポートしてもらえるとありがたいのは誰もが知るところだが、他の人をサポートするのもまた自分の助けになる。

バッファロー大学による、大きなストレスを経験した高齢者800人を対象にした調査でも、家族の用事を手伝ったり、子どもの世話をしたりするなど、人の役に立つ活動をした人はストレス関連の死因で亡くなる可能性が低かったという。

短期的な効果でいうと、他人を助けることで、反芻思考をしたり、自分の問題に集中しすぎたり、SNSで他の人が楽しそうにしている様子ばかり見たりする悪循環から抜け出せる。

他人の幸せに貢献することで、自尊心が高まる

また、他人の幸せに貢献することで自分の気分や自尊心も高まり、人生が有意義に感じられるようになる。

あるクライアントは、医療費の請求書が山ほど届いて、保険会社に数えきれないほど電話しなくてはならず、イライラしていた。

しかしそれを中断して、友だちに送る可愛いグリーティングカードを選んでいると、瞬間的にラクになっただけでなく、友だちがそれを開く姿を想像して1週間ずっと楽しい気分だった。

慈善事業に寄付する=収入が倍増したときと幸福感が同じ

カナダのブリティッシュコロンビア大学のエリザベス・ダン博士が主導した研究によると、他人のために少しお金を使う「向社会的支出」が幸福を促進するという。

世界中の人を追跡した調査でも、慈善事業に寄付した人のほうが幸福度が高く、収入が倍増したときの幸福度とほぼ同程度だった。

寄付という行為をさらに役立てるには、自分がどんな変化を起こせているのか、そして人は皆つながっていることを考えてみるといいだろう。

気軽に周りの人をサポートできることをやってみよう

周りの人の人生を助けるのに貢献できる簡単な方法を、いくつか紹介しておく。

▼自分が大事だと思う活動に寄付する。

▼「注目されていない」または「感謝されていない」と感じていそうな人に連絡をとる(孤立した家族に電話する、疲れて見える人にあえて声をかけるなど)。

▼オンラインで買えるものを、あえて地元の店で買う。

▼ふだんストレスをぶつけてしまう同僚や家族に親切にする。

▼昔、推薦状を書いてくれた先生や、今は遠く離れているがつらい時期を支えてくれた友人など、過去に自分を助けてくれた人にメッセージを送り、「今でも感謝している」という気持ちを伝える。

▼助けを必要としている人をさりげなく助ける。

▼大切な人に送る美しいグリーティングカードを選ぶか、自分でつくるなどして、短くていいので手書きのメモを添える。理由はただ「あなたのことを考えている」でいい。

▼応援を必要としている人に音声やメッセージを送る。

▼午前か午後の1回ですむようなボランティア活動を探す。

※『瞬間ストレスリセット』では、科学的に短時間でストレスを解消できる方法を多数紹介。その場しのぎではなく、ストレスに強くなるための習慣や対策(ストレス耐性を高める方法)も幅広く取り上げています。