アバターは本人にとって
「拡張された無二の身体」

 VTuberカルチャーはどこに向かっていくのかを考えてみたい。

 VTuberにとってアニメキャラクター的なビジュアルは重要な要素である。Live2D技術や3DCGなどを用いてルックス(外見)を大きく変化させることは、比較的誰でも可能になっている。

「自分自身のルックスを大きく変える」という意味では、ネット空間における自分自身(ユーザー)の分身となるようなキャラクター像、つまりアバターと同様だ。

 ただ、アバターと一言でいってもその実態は一様ではない。ネット上やゲーム中、メタバース空間で、無料に使用でき、気軽に変化させられるような簡易的なアバターと、1人のVTuberの固有の名前、ルックスやファッションを備えた専用アバターは、見た目が似ていたとしても同列に扱うことはできない。

 VTuberを始める際には、たとえば次のような手続きがとられる。自分でキャラクターを作れない場合、イラストレーターに自分のVTuberのイメージを伝え、キャラクターを描いてもらう。そして、それを元にモデラーにLive2Dや3DCGを作成してもらう。

 友人同士などで始める場合は無償の場合もあるだろうが、基本的にはお金のやりとりが発生するレベルの仕事だ。期間も数週間から、場合によっては数ヵ月。そこには活動者の意志や嗜好性が色濃く反映される。

 そうしてようやく生み出されたルックスでライブ配信をしたり、3D空間にログインしたりする。そうして制作されたアバターには、様々な思い出や他者との関係性が蓄積され、代替可能性のある自分自身の分身ではなく、「拡張された無二の身体」となっていくのだ。

 VTuberが大きく注目され始めた2017年~2018年にはクリエイターらを中心にして、いわゆるHow to本が出版され、その後「あなたもVTuberになることができる!」というネット記事も公開された。

 現状では「VTuberになること(アニメキャラクター的なビジュアルやアバターを手にいれること)」は、モデラーやイラストレーターに依頼する、または自身でアバターを制作する、その上で、相応のVTuber活動をすることによって成し遂げることができるのだ。