“VTuberエンタメ”が
たどり着く未来とは?
キズナアイ(*)が登場した際、それは「現実の身体」にしばられない新たなエンタメの到来を予感させ、その奥に新たな虚構のあり方やポップアートの登場を予見できた。その後、ライブ配信文化やキャラクタービジネス的な展開が盛り上がりを見せるにつれて、VTuberの知名度は上がっていき、私たちの身近な存在となることに成功した。
(*)…編集部注/2016年12月1日に活動をはじめた世界初のバーチャルYouTuber。VTuberブームを牽引し、国内外に多くのファンを持つ。2022年に無期限の活動休止に入るも、2025年2月26日に活動を再開。YouTubeのチャンネル登録者数は300万人を超えた(2025年2月末)。
「VTuber」というビジュアルや「仕掛け」という新奇性は、ある程度時間が経つと効果を失ってしまう。VTuberコンテンツが従来のエンタメとどういった部分が似ていて、どういう部分が異なるのか。
これから出てくる様々な実践を、多様な視点からつぶさに見ていくことによって、VTuberのエンタメ性を解像度高く明らかにすることができるし、そのような観点を持つことは、新たなエンタメを志す上でも有用ではないかと思う。
VTuber文化が、テレビ、演劇、お笑い、音楽などの伝統的ポップアートの構図を引用するだけに終始してしまうのか、オールドメディアで楽しまれてきたものとは大きく異なる新たなエンターテイメントを生み出すのか、それだけでも楽しみである。
一方で、「VTuberをどのような存在とみなすか」がきわめて曖昧なまま社会に広がってきたのも確かであり、「バーチャルタレント」「バーチャルライバー」など様々な意味を込めた言葉が生まれている。もしかすると、今後「VTuber」という語が包含する範囲には到底おさまりきらないような発展的な存在が生まれてくる可能性もある。
実際YouTuber、歌い手、声優、アイドルなどがアニメキャラクタールックなビジュアルを用意して、YouTubeやTwitchなどで配信活動を行っている現状もある。
今後は「自分自身の姿・顔」「アニメキャラクター的なビジュアル」という2つのルックスと別名を使い分けながら、ほとんどの芸能タレントが「本人」として活動する、そんな未来もありえるのかもしれない。
