「批判的なコメントを繰り返す人」が成長しない、たった1つの理由とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

百発百中を狙う深刻な現代病
「何かに取り組んだら、百発百中でうまくいくものだ」
そんな期待感にも「思い込み」が隠れています。
この「ゼロ失敗思考」にとらわれると、失敗した人を過度に批判したり笑ったりする傾向になり、成功のために必要な真実を見失ってしまいます。
成功の対義語は「失敗」ではなく「無挑戦」です。
成功するためには試行錯誤が欠かせません。
失敗は、むしろ成功に不可欠な「素材」であり、失敗なしに本当の成功をつかむことはほぼ不可能なのです。
VUCAの時代においては、「失敗しないこと」を目指すよりも、失敗とうまく付き合い、「失敗に慣れること」が重要なスキルとなります。
現代は変化が激しく、完璧を追求して動けないままでいると、機会を逃してしまうため、むしろ失敗を通じて成長する力が求められているのです。
失敗を受け入れることが成長のカギ
たとえば、はじめたばかりのユーチューバーを見ていると、トークはぎこちなく、カメラワークも粗削りで、企画も洗練されていないことがほとんどです。
視聴者からは手厳しいコメントが並ぶことも予想できます。
しかし、彼らは何十回、何百回と動画をアップし、失敗を繰り返すことで少しずつトークに慣れ、どんな企画がウケるのかをつかんでいきます。
つまり、失敗に慣れ、失敗を受け入れることが成長のカギなのです。
一方、彼らに対して批判的なコメントを繰り返している人はどうでしょうか。
多少の優越感は得られるかもしれませんが、自ら挑戦することはないため、進化するユーチューバーたちとは異なり、同じ場所にとどまったままです。
成功者とは「失敗のプロ」
また、他人に対して手厳しいコメントを重ねていると、自分が失敗したときに同じ批判を受けるのが怖くなっていきます。
やがて、「挑戦してみよう」という気持ちすら失ってしまいます。
結果として、自分の首を絞めてしまい、人生の選択肢を狭めることになります。
ゼロ失敗思考は、社会に広がる「現代病」とも言えます。
しかし、大成功を収めている人たちはこの思考を克服してきた人ばかりです。
彼らは、成功には膨大な失敗が必要であることを経験から理解し、失敗を自分の糧にするスキルを磨いてきました。
実際、成功者とは「失敗のプロ」といっても過言ではありません。
百発百中を狙うのではなく、小さな失敗を重ねて学び、柔軟に挑戦し続ける姿勢こそが、VUCA時代の真の成功への道なのです。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。