「働かないおじさん」になってしまわないために、覚えておきたいカタカナ語とは？

「働かないおじさん」になってしまわないために、覚えておきたいカタカナ語とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか？」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち（大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…）は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。（構成／ダイヤモンド社・種岡 健）

Photo: Adobe Stock

ストア派哲学の教え

　常に活躍する人であり続けるためには、ある心構えがあります。

　それは、「自分がコントロールできないことに焦点を当てない」という姿勢です。
　この考え方は、実は「ストイック」の語源である「ストア派哲学」にその根源があります。

　ストア派は、「自分がコントロールできること」と「できないこと」をしっかりと区別し、できないことにムダなエネルギーを費やさない姿勢を重視しました。

　他人の行動や結果、さらには運命や環境など、自分の意思では変えられない事柄にとらわれるのではなく、自分自身の意識や行動といった「自分の手の届く範囲」に集中することが重要だとされます。

　これは、現代において非常に有効な考え方です。
　たとえば、職場での人間関係、景気、戦争、事件、予測不能な出来事など、コントロールできない要素に気を取られてしまうと、気持ちが不安定になり、行動力が低下してしまいます。

　重要なカタカナ語である「ストイック」の本質は、コントロールできることにエネルギーを集中し、ムダなストレスを減らして、淡々と自分の人生に集中することです。

　自分が変えられないことに悩むのではなく、「今できること」に目を向けて行動すること。

　そうすることで、人生をより充実させることができるのです。

停滞しているときこそチャンス

　過去の私の行動は、「ゆるストイック」を体現していました。
　コロナ禍が明けた今、周囲には社会の変化についていけず、早期引退を余儀なくされたり、「働かないおじさん」になってしまったり、ポジションを失ってしまった人たちを見ることが増えました。

　多様な働き方が進む中、世の中は、「やる気のない人に関わるのはコスパが悪い」という事実に気づき、無気力な人々に時間を割かなくなりました。

　その事実に本人が気づくことは、さらに難しいことです。
　なぜなら、指摘してくれる人がもう誰もいないからです。

　だからこそ、今の時代においては、
「自分を律するストイックさ」と、他人と違う考えを許容し干渉しない、「寛容さ（ゆるさ）」という、相反するような価値観を同時に持つことが強さに直結する。

　そのように感じています。

　あなたなりに「ストイック」という言葉を日々の仕事や習慣に取り入れるようにしましょう。

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発売即、大重版が決定！！
佐藤航陽氏 最新刊！

『ゆるストイック』(佐藤航陽・著)

この本を書いた理由
「おわりに」より

　正直に言うと、本書で紹介した内容は、自分自身で十分に試行錯誤し、すでに消化してしまっているため、あえて文章として残すモチベーションはそこまで高くありませんでした。

　それでも書こうと思った理由は、長年考え続けてきたテーマであるため、「かつての自分のような人」の助けになれば、という気持ちが残っていたからです。
「努力は報われる」「夢は叶う」と教えられてきましたが、「マイナス地点からスタートした人もハンデを覆すことができるのか？」という疑問をずっと抱いていました。

「がんばらなくてもいいんだよ」と寄り添う言葉はとても魅力的です。
　しかし、彼らは甘い言葉の責任は一切取ってくれません。

　逃げ帰る場所がない人もたくさんいます。
　むしろそっちのほうがずっと多いです。
　私もずっとそうでした。
　この本はそんな人のために書きました。

　会社を経営していると、社会からずっと教わってきたことと、実際の世の中の仕組みが違っている場面に何度も遭遇しました。その度に、自分なりに世界の仕組みを自力で理解して攻略する必要がありました。

　そして、その度に誰かが書いた本に助けられてきました。
　今度は私が誰かにそれを返そうと思ってこの本を書いています。

『ゆるストイック』に書いたことは、「もっと早く知っていれば、無駄な遠回りをせずに済んだのに」と思うことばかりです。
　ここに書いたことはあくまで「手段」にすぎません。
　それを使って何を実現したいのかという「目的」のほうが重要です。

　この本が、自分の人生にまだ納得がいっていない「諦めの悪い人」へのヒントになることを願っています。

CONTENTS

第1章　時代が「ゆるストイック」を求めている
第2章　ゆるストイックの心の準備
第3章　「世の中の仕組み」をゆるく理解する
第4章　ゆるストイックに過ごす方法
第5章　ゆるストイックを持続するコツ
第6章　不確実な未来に備える