イライラ・モヤモヤ職場の改善法 榎本博明写真はイメージです Photo:PIXTA

やる気のない部下を抱えると苦労するが、やる気はあってもなかなか仕事ができるようにならない人物も困るものだ。いくらやる気があるとはいえ、温情で放置しておけば部署の生産性も士気も上がらない。何とか戦力になるように育てるには、どうしたらいいのだろうか?(心理学博士 MP人間科学研所代表 榎本博明)

意欲的なのにやる気が空回りする人

 やる気のない人物と比べたらマシだと思うかもしれないが、意欲が空回りしている人物も困ったものである。そのような従業員の扱いに頭を悩ます経営者は、次のように思いを語る。

「非常に意欲的な若者が入ってきて、これは良い人を採用できたと喜んだんです。『できるようになりたい』っていう思いをものすごく感じるんです。仕事についていろいろ質問してくるし、やる気に満ちてる感じで」

 ここまで聞くと、良い新人を採用できたのかと思いきや、どうもそうではなかったようだ。

「でも、喜んでばかりはいられないことがだんだんわかってきたんです」

 どういうことなのか、具体的に説明してもらうことにした。

「やる気があるわりには、なかなか仕事ができるようにならないんです。たいてい1カ月か2カ月もすれば、未熟なりにもある程度任せられるようになるものなのに、いつまでたっても先輩にいちいちやり方を質問したりしながら、どうにかこなせている、っていう感じなんです」

 まさに意欲が空回りする典型的なタイプのようだ。そこで、さらに詳細に説明してもらうことにした。

意欲が空回りしている人物が抱える問題は?

「本当に不思議なんですよね……あんなにやる気に満ちてるのに。なんでだろうと思って、このところ仕事ぶりを見ているんですけど……普通は自分が何ができていないかに目を向け、そこを強化しようとするものですよね。ところが、ただがむしゃらに目の前の仕事をこなすばかり、自分にとっての課題がわかっていない、という感じがするんです」

 ここで浮上したのが、目の前の仕事をがむしゃらにこなすばかりで、一歩引いて、自分のどこがまずいのかというように俯瞰することがない、だから自分にとっての課題がわからないということだった。つまり、自分には何が欠けているか,どこを強化しないといけないか、といったことがわかっていない。そこを指摘すると、