「充実した毎日を送りたい、でも楽に手に入れたい…そんな思いを抱いたことはありませんか?」
誰もが感じるこの思い。その背後に隠された真実を、『20代に伝えたい50のこと』(ダイヤモンド社)の著者秋元祥治さんは、21歳での起業経験を通じて学びんだと言います。成功の先に待っているものとは? 成長とはそもそも一体何か? その答えが、あなたの中に眠っているかもしれません。
本連載では、『20代に伝えたい50のこと』から抜粋しながらお伝えしていきます。

「充実しているな」と感じるのはどんな時
どうせなら充実した毎日を過ごしたい、と誰もが漠然と思いますよね。そして、できることなら楽をして充実した日々を手に入れたいと思うはず。少なくとも、僕自身はそう思ってきました。
21歳の時に創業しては、何年間も経営的に苦しいことも多かったし、毎日昼も夜もなく仕事に取り組みました。なかなか思うように成果が出なかったことにフラストレーションも溜まったし、もっと評価されるはずなのに……と悔しい思いもしました。
一方で、事業がうまく行きだすとしばらくはとても楽しいものです。人から褒められることは嬉しいし、思ったように結果が出るのは気持ちよいものでした。ただ、それもしばらくするとなんだか物足りなく感じるようになったのです。
では、あなた自身の過去を振り返ってみて、充実しているなと感じるのはどんな時でしょう?「野球部で大会を目指して、毎日がんばっていた」とか「コンテストで勝ちたいと仲間とのバンドに熱中していた」とか。学園祭や受験って言う人もいるでしょう。あるいは、恋愛……なんて人もいるかもしれません。
しかし、そのキラキラと充実していた頃と、成果や結果が出ることがイコールかというと、不思議とそうではないんですよね。楽をしていたどころか、苦しいとその当時は感じていた日々だったりするのではないでしょうか。
そう考えると、苦しくもがく最中にいるというのは、充実している時間を過ごしているとも言えるわけです。つまり、イキイキした時間を生きているということ。
成長とはそもそも何なのか?
最近若い人と会うと「成長したいです」という声をしきりに耳にします。成長とはいったい何でしょうか。
成長とは、「できないことができるようになること」ではないでしょうか。
とすると、成長のために必要なことは、できないことに何度も取り組むことではないでしょうか。たとえば逆上がりができるようになるために必要なことは、できない逆上がりの練習をすることです。補助板を使いながら、繰り返し繰り返しできないことに挑む過程は苦しいものです。かといって、できるからといって何度前回りをしても逆上がりはできるようにはなりません。
日常生活や仕事、あるいは恋愛などで困難や苦しい現場に向き合って必死にがんばっているということそのものが、チャンス。それは、後から振り返ると充実している時間を過ごしているということ。そして、成長のまさに過程、まっただ中に身をおいている、ということだからです。
だって、できないことができるようになるための、たったひとつの方法はできないことを、できるまで何度でもすることなのです。
辛くてやめたくなる時。実はチャンスの時
辛くてやめたくなる時。それは、できないことやうまくやれないことに突き当たった時。つまり、鉄棒の前で何度も補助板を使って逆上がりの練習をしている「あの時」にいるようなもの。それを突破した先には、できないことができるようになった、つまり成長した自分がいるはず。今は行き詰まっているように感じているけれど、それはまさに成長している過程なんだ、ととらえてみてはいかがでしょうか。
当たり前、だけれどつい見落としがちだからこそ思い返したいのです。成長するためには、できないことを何度も繰り返すよりない。抜け道も、近道もないという話。一見救いがないようですが、逆に言えば、誰もがやりさえすればきっとできるようになるということ。誰にでも可能性が約束されているということなのです。
キツい時は、生きてるーって思ったらいい。
後から振り返ると、充実している時は苦しかった時

(株)やろまい 代表取締役/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授
1979年生まれ。大学在学中の2001年、21歳で地域活性化に取り組みたいとG-netを創業。
中小企業支援と若者をつなぐ長期実践型インターンシップ事業を立ち上げ、高校教科書「政治経済」に掲載されるなど高く評価されている。2013年よりOKa-Bizセンター長に就任し、10年間で25000件を超える相談を受け、売上アップをサポート。1ヵ月の相談待ちがでる人気の相談所となっている。経済産業省「キャリ教育アワード」優秀賞、「ものづくり日本大賞」優秀賞などを受賞。内閣府地域活性化伝道師、総務省地域力創造アドバイザー。
だから僕は、キツい時、ピンチの時こそこう思うようにしています。
うわ、やばい。めっちゃ生きてるーって感じだ。
そして今、成長してレベルアップする一歩手前なんだ。
そうあえて口に出してみると、なんだかふっと一息つく感覚を得られるかもしれません。そして、目の前のことに向かい合うべきタイミングなんだ、という気持ちになるのではないでしょうか。だって、大きく成長するチャンスであり、人生の充実の瞬間がいまここにある、ということなのですから。
キツい時は、生きてるーって思ったらいい。
後から振り返ると充実している時は苦しかった時だから。