「仕事の反対語は○○?」
答えからわかる、仕事への価値観

 令和5年「国民健康・栄養調査結果の概要」(厚生労働省)によると、平均睡眠時間が6時間未満の人は4割を占める(男性38.4%、女性43.6%)。年代別に見ると、男女ともに50代の割合が一番高い。また、「ここ1カ月間、睡眠で休養がとれている」と回答した人の割合は全体で74.9%、前年より4.5%減少している。休息の基本は睡眠だが、日本人の約5人に1人が「眠っても休養できた感覚を持てていない」ことがわかる。

「メール即レス」だけで休日が終わってない?“見えない労働時間”に支配されない休み方久保智英氏

 働き方や、それに関わる疲労や睡眠の問題について研究を行う労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所上席研究員の久保智英氏は、次の質問を投げかける。

「仕事の反対語って何だと思いますか?」

 あなたはどう答えるだろうか。久保氏は、この質問の回答に、その人それぞれの労働意識が表れると言う。

 全国の看護師1031人(平均年齢37.1歳)を対象に同様の質問をしたところ、仕事の反対語は「休み」と回答した人が62%、「遊び」と回答した人は32%だった。さらに、対象者の回復欲求尺度(過去1カ月の勤務後や休日における疲労回復状態を尋ねたもの)を調査すると、最も疲労スコアが高かったのが仕事の反対語を「健康」と答えた人で、反対に最も疲労していなかったのは「遊び」と答えた人だった。

【仕事の反対語を「健康」と答えた人が最も疲労レベルが高かった】

 確かに、疲れ切っていると休日に遊ぶ意欲などなく、「休み」と答える人が多いのは頷ける。

「気になったのは、仕事の反対語が健康、と答えた人です。疲労度も高く、仕事を病気と同じようなものである、と半ば諦めてしまっているのかもしれません。一方、海外の講演などで同じ質問をすると、ほとんどの人が仕事の反対語は“遊び”と答えます」

 私たちは仕事相手と「お疲れ様です」と挨拶することが多いが、ここにも疲労への価値観が垣間見えるという。