疲れを癒やすオフの過ごし方として、久保氏は「仕事で特に多く使った能力は使わずに、それとは反対の能力を使った過ごし方をすると、リフレッシュしやすい」とアドバイスする。例えば、仕事で精神的な能力を多く使う人は身体を使う過ごし方、逆に、身体的な能力を多く使う人は精神的な活動をする過ごし方、といった具合だ。
「私自身は、平日頭脳労働をしているので、休日は疲れていても家族と海や山に出かけたりして自然環境で過ごすようにしています。もともとインドア派でしたが、体を使う過ごし方をするようになってから、メリハリがついて休み明けには疲労が解消し、スッキリした頭で仕事に取りかかれるようになりました」
「勤務間インターバル制度」の導入で
連続で11時間の休息時間を
ただし、個人レベルだけでは「休む力」を高めるにも限りがある。久保氏は、労働者の疲労対策として、疲れたら「休む・休める・休ませる」という「労働者の疲労回復3原則」を提唱する。
【労働者の疲労回復3原則】
1 休む(個人レベル):知識、行動
2 休める(職場レベル):職場の空気
3 休ませる(国レベル):法律、ルール
個人で「休む」ための工夫をするだけでなく、罪の意識を感じることなく「休める」職場、労働者を「休ませる」ための法律や制度づくりを国レベルで行う、というふうに3つの階層において疲労回復課題を解決していく必要がある。
「働く人がいくら自助努力で休む力を高めようとしても、職場が休むことを許さない環境では問題は解決しません。また、労働者を休ませる制度、枠組みづくりは、国が行う必要があります」
国レベルでの過重労働対策の一つとして「勤務間インターバル制度」を導入する企業が増えている。勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定以上の休息時間(インターバル時間)を設けて従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとするもので、2018年交付の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に対する法律」によって企業の努力義務となっている。具体的には、24時間につき最低連続11時間の休息時間が目安とされる。
では、11時間のインターバル時間があれば、十分に休めるのだろうか。